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第5回インタビュー
PBLの目的はプロセスを学ぶこと
―マネジメントやグランド・デザイン修得をめざして―

今回のインタビュイー

石野田大典さん

石野田大典さん
國澤PBLにて『都市型中小製造業の新たなものづくりモデルの開発』に取り組む。

AIITの創造技術専攻に進学された理由は?

石野田 課題解決手法としての“デザイン”を勉強したかったからです。私は板橋区役所に勤めていますが、公務員の本来業務はグランド・デザインにあると、かねがね考えています。生活者の利便性が増したり、事業創出につながったりといった実利的な成果とともに、ここに住んでいてよかったとか、こんなものがあってうれしいといった感動を呼ぶような政策を志向しなければならないと思うのです。そうした意味から、意匠としてのデザインではなくて、マネジメントやグランド・デザインを基礎から学びたかったのです。そうした指向性をもった教育機関がAIITでした。國澤PBLを選んだのも、同じ理由です。

PBLはどんなテーマでしたか。

石野田 先生から『都市型中小製造業の新たなものづくりモデルの開発』という、大きなテーマを提示されました。これに対して学生がどう考えていくかを議論するところからプロジェクトが始まります。キーワードは、先生が示された「地問地答」です。地域の問題を地域で解決するといった意味です。前例のないプロジェクトですから、地域の問題とは何か、その解決策をどうするか。その手順から考えていきました。

メンバーは?

石野田 社会人である私と、学部を卒業したばかりの若いメンバー3人の計4人です。第1~4Q(Quarter:四半期)のうち、前半は私がプロジェクト・マネジャーを務めました。後半は「リーダーをやってみたい人は?」と募って、プロジェクト・マネジャーを交代しました。というのも、メンバー間に温度差というか、プロジェクトに対する姿勢や思いに違いがあったからです。メンバーはみんなフラットな立場で参加していて、上下関係などありません。一方で、唯一、私だけが社会経験があって、年齢も相当離れています。このため、どうしても指示する立場になってしまうんですね。成果を出すためにはその方が効率的かもしれませんが、PBLの目的は成果ではなくプロセスを学ぶことだと思います。ですから、1年間のPBLのなかで、メンバーみながいろいろな役割を果たした方がいいと考えたんです。

次回はプロジェクトを通じて得たものについてお伺いします。

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