第1回インタビュー
立場の違うメンバーの方向性を同じに
―PBLでコア・コンピテンシーを修得―
今回のインタビュイー
竹内健二さん
福田PBLにて『大都市における動態のデザイン2025』に取り組む。
社会人になって6年目に、AIITに入学されたそうですね。その理由は?
竹内 大学では、美学・芸術学を専攻し、卒業後は、視覚芸術分野に近い企業ということで、プリンタや複写機、カメラなどのメーカーに入社しました。仕事に慣れてきた頃、大学院でもう一度、芸術というよりも実践に近い「デザイン」について学びたい思いAIITを選びました。
プロジェクトは、どんな内容でしたか。
竹内 2025年の大都市、東京をモデルに水上交通の可能性を追求することにしました。そして、2025年の東京に水上交通を発達させ、東京に内在する多様な課題を解決し、快適で魅力ある都市空間の実現を提案しました。
プロジェクトで苦労した点は?
竹内 メンバー4人のうち、3人が社会人。とにかく、全員が集まる時間をつくることに苦労しました。プロジェクトでは、進捗の管理や議論を同じ机で顔を突き合わせて行うことが大切ですが、それがなかなか叶いません。全員が揃う少ない機会で、いかに4人が同じ方向性を向くようにするかが、もっとも大きな課題だったような気がします。今思えば、プロジェクト・マネジメントの課題そのものですね。
成果を出していくには、いろいろな工夫が必要でしょうね。
竹内 ホワイトボードに議論の経過をメモして残すとか、情報を共有できる方法はなんでも試しましたね。今、私はオランダ現地法人で働いていますが、日本の拠点と共同でプロジェクトを進行することがあります。時差を超えて成果を出していくプロセスを体験するにつけ、AIITのPBLはこのミニチュア版だったんだと実感しますね。立場が違う人たちが同じ目標に向かっていくためのコミュニケーションを体験したことで、コンピテンシーの一つは修得できたと手応えを感じます。
主担当の福田教授はどのように関わったのですか。
竹内 先生は常に、「プロダクト・デザインは可視化・構造化のプロセス」とおっしゃっていました。それはもう、耳にタコができるほど(笑)。「人の話をじっくり聞く」大切さも教えていただきました。他の人の話の中に良いアイデアが隠れていたり、問題の本質があったりするんです。基本の基本ですが、今でも、仕事を進めるうえで、この教えを実践しています。