第2回インタビュー
失敗できる、だから成長できる
―多様な情報の集約・統合を体得―
今回のインタビュイー
竹内健二さん
海外現地法人の事務所前にて
プロジェクトはどのように進めましたか。
竹内 まず、東京の現状を観察することから始めました。道路網、地下鉄網を見比べ、皇居、東京駅、お台場など、観光・交通ハブをメンバーと見て歩いたことを覚えています。福田先生からは、現在・過去・未来への都市の流れを読み、大都市のあるべき姿を大胆に描いてみるようアドバイスされました。そして、江戸時代の水上交通に注目し、現在の都市問題を解決する鍵があると仮説を立てました。すると、都市問題だけでなく、観光、水辺効果、防災機能、など東京の未来を発展的に捉えることができる要素がたくさんあるとわかってきたのです。
どんな場面で、PBLの経験が有効だと感じますか。
竹内 現在は、サプライチェーンマネジメントに関連する仕事をしています。この仕事は、部品調達、加工・組み立て、輸送、マーケティングの各プロセスに加えて、社会・経済環境、キャッシュフローなど様々な観点を総合して、巨視的に見ることが必要です。個々のプロジェクトを関連付け、全体の効率と調和を図ること、そして各プロジェクトのキーマンと緊密にコミュニケーションをとっていくことなど、あらゆる場面で、まさにPBLを通じて獲得したコンピテンシーが生かされていると思いますね。多様な情報を集約し、結合・統合していくプロセスをPBLで経験できたことは、現在の実務でとても役立っています。
学生同士の交流は続いていますか。
竹内 年齢や社会的な立場を越えたコミュニティができています。私は、AIIT修了後、すぐにオランダに転勤しましたが、メールなどでひんぱんに連絡を取り合っています。昨年、日本で結婚式を挙げた時には、お世話になった先生、同期の仲間が盛り上げてくれました。うれしかったです。AIITで出会った仲間が活躍している知らせを聞くと大きな励みになります。これからも関係を継続させていきたいですね。
AIITを志望する方にメッセージがありましたら、お願いします。
竹内 AIIT、なかでもPBLのすばらしいところは、「失敗を体験できる」ことです。仕事では失敗するわけにはいきませんから。大きな組織の中で能力の限界を試してみる機会はそれほど多くありません。これに対してPBLでは、小集団の中で失敗しながら確実に実践を重ねることができます。そして、短期間で自分自身の成長や、可能性を実感できます。物事の捉え方や経験の異なる教授陣や学生たちが集まる多士済々の環境も、大きな魅力です。ものづくりのプロセスを体感し、コミュニケーションの力を磨くことが、これからの人生をより充実させると思います。