山本良一理事長 挨拶
東京都公立大学法人理事長として、法人を代表して一言祝辞を申し上げます。
本日晴れて学位授与式を迎えられた皆さん、誠におめでとうございます。
また、ご来賓の皆様、ご関係者の皆様におかれましては、多大なるご支援・ご協力賜りまして心から御礼申し上げます。
今年は元日に能登半島地震が起き、犠牲者240名、負傷者1300名、建物全壊3125棟という大きな被害となりました。亡くなられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
首都直下地震についても、いつ発生するか現在の科学では正確な予測はできませんが、近いうちに必ず発生することはほぼ確実視されています。東京都による都心南部直下地震の被害想定では、帰宅困難者が453万人も発生するとのことです。このように、いつ起こるか分からない非常事態には、備えは常に万全を期さなくてはなりません。例えば、1月2日に起きた羽田空港での衝突事故では、日本航空機の乗客全員が乗務員の日頃の訓練の成果によって無事脱出することができました。日頃より危機に備えることが最も重要であることの証左です。法人としても、速やかに地震対策を一層強化することにしています。
申し上げるまでもなく、既に生じている気候の非常事態への対策を急がなければなりません。
昨年の世界の平均気温は、観測史上最も高い年となり、過去10万年間をとっても最も暑かったと言われています。2023年の世界の年間の平均気温は産業革命前より1.45℃高く、パリ協定で約束した1.5℃目標の達成は、風前の灯火となっています。このため、世界は脱炭素社会を一刻も早く、前倒しで実現することでこの危機を乗り越えようとしています。3年前、法人は国公立大学で初めて気候非常事態宣言を行いました。さらに、カーボンニュートラル達成のための行動計画を策定し、既に実行に移しています。皆さんは是非これを誇りとし、自らも気候変動と闘ってください。
さて、修了される皆さんは、この先、様々な道に歩み出されると思います。
どのような分野に進まれても、世界のどこに行かれても、地震や気候非常事態のように先を見通すことができない困難な問題に否応なく向き合っていかなければなりません。
それでも困難な壁にぶつかったときには、ここ東京都立産業技術大学院大学で学んだ日々を思い出していただきたい。そして、自信と誇りを忘れず、大学で得た知識や経験を仲間と共に力に換えることで、広く社会に貢献されることを願っております。
そして、新たな知の獲得や、学びを一層深めたいときには、再び母校を訪れてください。素晴らしい先生方がきっと智慧や気付きを与えてくれ、それが新たな進むべき道を照らしてくれると思います。大学はいつでも、皆さんを温かく歓迎いたします。
改めて、今日の日を心からお祝いし、祝辞といたします。
令和6年3月16日
東京都公立大学法人 理事長 山本 良一