山本良一理事長 挨拶
東京都公立大学法人理事長として、法人を代表して一言ご挨拶申し上げます。皆様、本日はご入学おめでとうございます。教職員一同皆様を歓迎します。
ただ今、川田学長より詳しい説明がありましたように、本学は社会人に広く開かれた大学院大学であり、多くの素晴らしい教授陣による最良の学び直しの場を提供しております。是非、本学の「事業設計工学コース」、「情報アーキテクチャコース」、「創造技術コース」といった特色ある3つのコースで学ぶことで、高度専門職業人である「事業イノベーター」、IT高度専門職技術者である「情報アーキテクト」、イノベーションをもたらす「ものづくりアーキテクト」となり、「技術イノベーション」や「新たな価値の創造」により、産業の発展に大いに貢献してください。
私からは2点皆様にお話させていただきたいと思います。
はじめに、毎年、世界では150万ほどの自然科学論文が公表されていますが、日本は論文数で4位、トップ1%の高被引用論文では9位と20年前の2位、4位と比べて世界的ランキングが低下しています。そのような中でも、本学をはじめ都立大学や産業技術高等専門学校といった東京都公立大学法人が運営する各教育機関の構成員一人ひとりが日々の教育研究に熱心に取り組むことで、法人として質の高い研究論文を生産し続けています。この性質の異なる三つの教育機関が連携・協力し、効果的な事業を展開していくことが可能という点が本法人の強みであります。
つぎに、各種のグローバル・イノベーションランキングを見ても、日本の順位は低下しています。例えばWEFの国際競争力ランキング(総合)(2017-18)では9位と中々順位を上げることができない状況であり、私たちはイノベーションにおいても国力の低下を率直に認識し、これを反転する努力をしなければなりません。
ここで言うイノベーションとは何かについてです。20年ほど前にイギリスのイノベーションに関する報告書を読んだ折、その定義について次のようなことが書かれていました。お金を投入して知識を得るのがリサーチ(研究)で、知識を投入してお金を得るのがイノベーションであると。日本では資金を投じて技術開発をすることをイノベーションと考えている場合が多い訳ですが、イノベーションは技術開発に限りません。このイギリスの定義の方が私は実践的で優れていると思います。現在、直面している新型コロナウィルス対策とカーボンニュートラル社会実現には多くのイノベーションが必要です。皆さんが本学で学ぶことで今後グローバルにイノベーションを起こす人材となり、活躍することを期待しています。また、本学の学生は非常に幅広い年齢層で構成されており、高い意欲を持つ人材が本学に集い、日々研鑽しております。皆さんも是非学内の多様な方々と切磋琢磨しながら勉強に励んでいただき、先生方や先輩、仲間との出会いを大切にしてください。
これをもって理事長の挨拶と致します。
令和3年4月3日
東京都公立大学法人理事長 山本良一