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令和4年度秋季入学式を実施しました

 令和4年10月1日、東京都立産業技術大学院大学秋季入学式を実施しました。この日、事業設計工学コース2名、情報アーキテクチャコース5名、創造技術コース5名が入学しました。新入生に向けた学長の式辞を紹介します。また今年度の秋季入学式は新型コロナウイルス感染防止対策として、対面遠隔併用で開催いたしました。

橋本洋志学長 式辞

橋本洋志東京都立産業技術大学院大学学長

 東京都立産業技術大学院大学に入学された皆さん、入学おめでとうございます。東京都公立大学法人、および、本学の教職員ともども皆さんの入学を心よりお祝い申し上げます。また、皆さんをこれまで、支えてこられた、ご家族や関係者の皆さまに、心よりお祝い申し上げます。
 本学について、改めてご紹介します。本学は、専門職大学院です。専門職大学院とは、文部科学省の定めによりますと、科学技術の進展や社会・経済のグローバル化に伴う、社会的・国際的に活躍できる高度専門職業人、すなわち、高度プロフェッショナルの養成に目的を特化した課程を言います。昨今の我が国は、グローバル化社会に対応しなければなりません。これは、科学技術、経済、文化など、あらゆる分野においてです。そのため、これらの背景のもと、東京都と産業技術界の要請により本学は2006年に設置されました。本学の使命の一つとして、高度な教育を授ける、があります。すなわち、専門的知識と体系化された技術ノウハウを活用して、新たな価値を創造し、産業の活性化に資する意欲と能力を持つ高度専門職業人の育成を目的としています。
 現在、本学は,1研究科1専攻3コース制をひいています。このコースとは,
・産業技術分野における事業戦略を高度に駆使し、実行に移せる人材を輩出する事業設計工学コース
・情報システムの上流工程の設計や運営を担う人材を輩出する情報アーキテクチャコース
・デザインとエンジニアリングを融合して新たな価値創出を担う人材を輩出する創造技術コース
があります。これらは,産業技術分野の中核を成すものであり、これら三つが同時に存在するのは我が国において本学のみであります。

令和4年度秋季入学式2

 みなさんを高度専門職業人、すなわち、高度プロフェッショナルに導くため、本学は特色ある教育システムを、幾つも提供しています。たとえば単位数です。修了要件は、通常の大学院よりも多い、四十単位としています。これは、結果主義の修士論文審査を設けない代わりに、みなさんの秘めている能力を向上させる授業を配置しているためです。この能力とは、専門的な技術力が発揮できることは、もちろんですが、現代社会では、これだけでは、みなさんは活躍することは難しいでしょう。活躍できるためには、異文化理解、他者とのコミュニケーション、たゆまない学習が行えること、などが必須と言われています。そのため、本学は、これら多岐に渡る能力の修得が行える教育プログラムを提供しています。
 これらの能力を身に着けるためには、グループワーク、アクティブラーニング、現場データ中心志向、などが必要です。これらは、教えられて直ちに身に付くものではなく、長い時間をかけて、反復学習が必要なものばかりです。しかも、様々な分野や属性に渡っています。
 次に、授業は様々な形態の授業スタイルがあり、一律の形態ではありません。そのため、みなさんは、シラバスをしっかりとお読みください。シラバスとは、授業設計・計画を意味し、どのような授業を行い、どのレベルに達するかの目標などが書かれています。授業スタイルを含め、その内容は、科目を担当する本学の教員が責任をもって細かく書いていますので、みなさんが学習計画を立てるときには、シラバスを十分に読みこなし、わからないことは、教員に聞くことをお勧めします。

 更なる本学の特色ある教育プログラムとして、PBL型科目があります。PBL、Project Based Learningは教育メソッドの一種で古くからあるものです。従来は、均質で一様な属性の生徒や学生を対象としたもので、集団行動での学習と捉えられがちでした。本学のPBLは、多様な属性を持つ社会人学生が、それぞれ個別の能力を高めることと、グループとしての能力の向上も目的としていますから、その手法、コーチングは、本学が独自に編み出し、しかも、社会人リカレント教育に適しており、その高い評価は国内のみならず海外からも得ています。重要な能力の一つに発想力があります。発想力の養成も主眼の一つに置いていますので、指導教員が天下り的にテーマを与えるということはありません。そのため、一見、自由でよさそうに聞こえますが、実は逆です。社会に受け入れられる発想を産み出すということは、莫大な熟考と非常な努力に基づく思考力と行動力が要求されます。これまで、みなさんの先輩方は、PBLの学習活動の量と質に圧倒されそうになった例がありましたが、グループメンバーの仲間と教員があなたがたをサポートしますので、安心して学習にはげんでください。
 昨年度のPBL活動において、先輩方が産み出した内容は、高度な技術を駆使して、社会のニーズに応えた価値を有するもの、例えば、SDGsの社会実装、公共性の高いサービスの開発、人と社会を結びつけた新しいシステムなどがあり、国内外の自治体や企業が興味を示す内容もありました。

令和4年度秋季入学式3

 ここで、本学で学ぶ中で、価値の意義をぜひお考え下さい。価値とは、単に便利になるだけではありません。意義深い価値とは、それにより、人々の考え方が変わる、行動様式が変わる、社会システムが変わる、または、学び方や理解のあり方が変わる、など、人と社会の本質的なものを変えうるようなものとお考え下さい。そして、在学中に意義ある価値とは何か、ということを深く考えてください。
 価値について、もう一つ触れたいことがあります。それは、社会実装です。新たなアイディアを考えても、他者に伝わらなければ価値は生じないと言えるでしょう。社会実装されて、アイディアは初めて意味ある価値を持つと言えます。社会実装するには、社会的受容性、すなわち、社会や人々が、みなさんのアイディアを受け入れる、すなわち、許容されなければなりません。そのとき、みなさんは説得だけでなく、納得してもらえるような活動が必要となるでしょう。それも、幅広い分野の多くの人々に。大勢の人々に受け入れられる考え方の一つとして、「社会をより良く変えるために、あなたが求められているのならば、無償で自分の知識を公開する」というものがあります。古今東西の歴史を振り返ると、大きく社会がより良く変革したときには、このようなマインドを持った人々が多くいました。また、このようなマインドを持った人間には、多くの人が寄ってきて、新たなパワーを生み出してきました。きっと、人の世というものは、このような人々によって、良き方向に導かれてきたかと考えています。

 最後に、「失敗から学ぶことが多い」という言葉があります。本学の学びの精神は,企業文化や組織文化のものとは異なります。本学は,アカデミアとしての大学院ですから,失敗があったとしてもみなさんの能力が高まることに価値を置いています。そのため,自分の得意な形を一度,脱ぎ捨てて、チャレンジングな発想や学びを是非,行ってください。そのとき、当然、失敗はありうるでしょうが、恐れる必要はありません。新入生のみなさん、本学で学び、新たな知識と能力を身に付けてください。また,多くの友人も作ってください。「学びは最高の自己投資です。」

令和4年10月1日
東京都立産業技術大学院大学
学長 橋本洋志

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