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第8回インタビュー
2030年の都市型動態デザインを提案
―PBLを通じてコンピテンシーを磨く―

今回のインタビュー

福田哲夫教授

福田哲夫教授
1967年、都立工芸高等学校デザイン科卒業後、日産自動車に入社。70年代に独立し、商用大型トラックから産業用機器、生活用品等、多領域にわたる製品開発や研究活動を続ける。新幹線等の公共交通機関の開発にも参加。首都大学東京教授を経て2008年、産業技術大学院大学教授、創造技術専攻長に。同産業デザイン研究所長も務める。
写真:2012PBL発表会での福田PBL記念撮影(福田教授は左から四人目)

2011年度のプロジェクトは、「大都市における動態のデザイン2030」がテーマと提示され、どのように動いていきましたか。

福田 まず、2030年の社会や交通のあるべき姿を議論します。そして、描いた未来と現在とのギャップを認識して、そのズレを解消していく形で課題を設定し解決策を探っていきます。仮説提案型と呼ばれる手法です。プロジェクトがスタートする直前に東日本大震災が起きました。多くの帰宅困難者が生じた現実から、将来をコンパクトシティになると予測しました。その予測シナリオに基づいて、東京の現実を観察します。

観察ですか。

福田 デザイン・プロセスで最も重要なのは観察です。将来はこうありたいという目標を持って現実を観察することで、初めて課題が見つかります。住まいと職場、各種施設がコンパクトにまとまった街で時間的に余裕のある理想の暮らしを追求し、自給自走型水上交通の可能性に行き着きました。さらに地域の都市問題を解決するとともに、環境に配慮したデザインにしたいといったニーズも抽出できます。こうしたコンセプトを可視化していく過程が、まさにデザイン・プロセスです。

PBLで学生たちはどんなことを修得しますか。

福田 デザインには、唯一無二の正解はありません。いくつものアイデアから一つの解答を得るプロセスが大切です。学生たちは、緊密なコミュニケーションを通じて成果に近づいていきます。自分のアイデアを他のメンバーに理解させるには、同じイメージを持てるような表現が必要です。アイデアを一つにまとめるには、いくつものアイデアを統合していかなければなりません。PBLを通じて、リーダーシップの取り方やプロジェクト・マネジメントのスキルといったチームプレイに不可欠のコンピテンシーを獲得するのです。指導していて、社会人であってもこれらのコンピテンシーが身についていないケースが少なくないことに気づきました。具体的なスキルの修得はもとより、コンピテンシーを獲得していく学生の姿に、PBLの有効性を感じます。

今後は、どのようなテーマでプロジェクトを進めていきますか。

福田 明るい未来と夢のある暮らしを軸に、課題を提示していきたいですね。仮説提案型のプロジェクト進行を通じて、コンピテンシーを磨いてもらいたいからです。

プロジェクトを遂行していく際のアクティビティ

プロジェクトを遂行していく際のアクティビティ

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