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第1回インタビュー
先端技術をテーマとしたプロジェクトを実践
―高度な職務遂行能力を獲得―

今回のインタビュー

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川田誠一教授
1982年、大阪大学大学院機械工学専攻博士課程を単位取得退学し、大阪大学工学部助手に。翌年、工学博士(大阪大学)。86年、東京都立大学(現:首都大学東京)工学部助手に転じ、助教授、教授を歴任。2006年、産業技術大学院大学産業技術研究科長に就任。

高度専門職人材の育成を目的とするAIITは、わが国でも珍しい存在です。

川田 日本の高等教育機関の中で職業人を育成することを制度上うたっているのは、専門職大学院といわゆる工専などの高等専門学校だけです。一般の大学では、学生は知識の獲得をめざし、大学院修士課程に進むとより専門性を深めます。これに対してAIITでは、プロジェクト型の学修を通じて、時に学際的な視点をもって、高度専門職人材に必須の知識、スキル、ノウハウの獲得をめざします。

カリキュラムもユニークです。

川田 1年次はケースや演習を多用した講義、2年次はPBL(Project Based Learning)を通じて学修します。カリキュラムは高度な実務家に必要とされるITSS(ITスキル標準)を強く意識して構成しています。PBLは、欧米では多くの先進的な大学で採用する学びのシステムです。学生が数名でチームを組みプロジェクトを遂行しますが、プログラムは学生がコンピテンシーを獲得するために周到に準備されたものです。立場や考え方、視点の異なる人々がこれらを共有し、協働していくための、本来の意味でのコミュニケーションの力を養うわけです。

さまざまな背景をもつ学生がチームを組むのですから、大きな成果を期待できます。

川田 あるOBが「大手企業出身の学生は理論的なアプローチを、中小企業出身者は現場主義的なアプローチをとることが多く、その衝突は大きかった」とふり返っています。ビジネスでのプロジェクトは適材適所によって高い成果を追求するのに対し、PBLではすべての学生が対等です。お互いの違いを理解して成果を出していくプロセスのなかで、学生たちはコンピテンシーを養います。

学生の主体的な動きが求められます。

川田 もちろん、プロジェクトの遂行に必要な知識やスキルは、自学自修しなければなりません。これを実現できる高いレベルの学生がAIITには集まっています。学生自治会も、AIITへの不満や要望を集約し、よりよい学びの場を実現するため、学生自身が発起人となって設立したものです。

産業界のニーズに応えることも大切です。

川田 AIITは、企業経営者などの学外委員を中心メンバーとする運営諮問会議を設置しています。PBLのテーマはすべて事前に運営諮問会議にかけますし、テーマを共同開発することもあります。今後はPBLの対象分野に見識のある外部レビュアーの参加を得て、事後評価していただく考えです。

次回は、PBLの実際についてお聞きします。

専門職大学院は学校教育法に基づき設置される大学院です

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