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講義で学んだ理論をPBLで実証し起業した会社のビジネスモデルとする

三浦 幸太郎さんの画像

情報アーキテクチャ専攻 2017年修了
放送大学 出身

株式会社いろはソフト代表取締役 三浦 幸太郎さん

独学で身につけた技術を体系的に検証する

 16歳で教育ソフトのプログラミングを始めて以来、学習・教育システムの開発に取り組んでいます。23歳で会社を興し、日本初のインターネット大学に導入するeラーニングシステムの開発などに携わりましたが、6年後に事業を精算。自身の技術を海外で試したくなり、渡米しました。

 その後、機能の高度化だけを追求する開発に限界を感じ、アートの感性を養うためフランスに渡りました。パリのアパートで生活をしながら、人が感じる美しさや心地よさを考え、目指したのはお絵描きをするように使える個人向けの学習支援ソフトでした。帰国後これをリリースすると、多くの雑誌で取り上げられ、50万ダウンロードを記録し、海外でも好評価を得ました。

 自身の方向性を確信したものの、これまで身につけた技術は全て独学によるもの。さらに飛躍するため、情報技術を体系的に学び、自分がすでに持つ技術と欠けている技術を検証しようと考えました。また、将来海外で仕事をしようと思った時、ビザの審査でアドバンテージになる学位を取得しておくことも、AIITで学んだ大きな理由でした。

市場の空白地帯に戦略的に投入したシステム

 改めて立ち上げた会社では、オープンソースソフトウェア(OSS)の学習支援システムの開発及び一般提供を、戦略的なビジネスとして展開しています。OSSに着目したのは、AIITの授業で先駆的な事例を学んだことがきっかけ。また、同じく授業で身につけた市場分析の手法に、かねてより構想していた「オープンで、かつシンプル」というシステム形態を当てはめたところ、そこがほぼ空白であることを発見したのです。

 事業化を前提に、PBLでOSSの開発、実証実験を済ませ、そのときにビジネスモデルを立案しました。講義で学んだ理論をPBLで試し、起業した会社のビジネスにした、というわけです。

 開発したシステムは、100社以上から問い合わせがあり、そのうち約20社とビジネスを進めています。現在では「オープンソース eラーニング」とGoogleで検索すると、当社のサイトがトップに表示されるまでになりました。

究極の目標に近づく重要なエポックとなる学び

 現代のソフトウェア開発は、OSS抜きには語れません。ですから、もしAIITで学んでいなくとも、私は同じようなシステムを開発していたかもしれません。しかし、仮にそうだったとしても、事業戦略に基づいてそれを市場に投入したという点で、現在のビジネスはこれまでとは決定的に違います。

 AIITを経てつくりあげた学習支援システムには、そこで学んだ知財戦略の知識や経営感覚も反映されています。単なる思いつきによるヒットではありませんし、受け入れられていなかったとしても、市場投入までに辿った過程を正確にさかのぼって原因を突きとめ、次に活かすことができます。

 10代から学習支援ソフトの開発に取り組んできた私の究極の目標は、自ら学び、考え、歩む社会をつくること。AIITで学んだ経験は、世の中に必要とされる学習・教育用システムの開発を通じて、目標の実現に近づく、重要なエポックになるはずです。

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