長年抱き続けた地域の課題にPBLで取り組む
事業設計工学コース
北山 幹夫さん
2022年修了
CXコンサルティング合同会社 代表社員
早稲田大学 出身
科目等履修生を経て本科に入学
AIITに入学した年の9月に起業しました。独立後はマーケティングやコンサルティング、従業員へのコーチングなどのサービスを観光業界の企業に提供し、新規顧客の開拓やリピーターの増加・定着を目指しています。もちろんAIITでの学び直しは、起業を想定していました。しかし在学中の起業は、当初の計画ではありません。コロナ禍による観光業界の経営悪化が顕著になったのを機に、計画を前倒して独立したのです。AIITでの学び始めたのは修士課程に入学する3年前、科目等履修生としてでした。その当時は実務に直結するマーケティング系を中心に講座を選んで受講していました。
社会人が学びやすい制度をフル活用
科目等履修生として修めた単位は、単位バンク制度により本科の修了単位に算入できます。そのため、修士課程の単位取得に余裕ができたことから、情報アーキテクチャコースが開講するデータサイエンス系やシステム系の講義も受けました。
在籍した事業設計工学コースでは、アントレプレナーのキャリアモデルを軸に、当時はまだ会社員だったこともありイントラプレナーモデルで興味が湧いた科目も履修しました。
こうして1年次に幅広く学べたのは、AIITがカリキュラムの制約を少なくし、他コースの科目履修を奨励しているため。科目等履修制度や単位バンク制度、自由度の高いカリキュラムなど、社会人が学びやすいように設計されたAIIT の制度を、私はフル活用したことです。そしてPBLでも、私が長年抱いてきた課題に取り組めました。
おもちゃ箱状態だった知識を整理し引き出しやすくする
2年次のPBLでは、高齢化と過疎化が進む東京都檜原村で、関係人口を拡大させる施策の創案に挑みました。
高齢化と過疎化により自治体の機能が低下していく減少は、日本の至る所で顕著です。都市部の企業が資本や人材を投下し事業を立ち上げただけでは、地域の活性化につながるとは限りません。その事例を、独立する前、旅行会社やホテルの運営会社に勤務していた時から数多く見てきた私は、収益を地元に還元し地域が潤う仕組み作りを、人生後半の課題としました。
1年をかけて檜原村の実情に即した提案を構築できた経験は、自信という仕事への基盤をもたらしてくれました。会社員として積んだ経験が、貴重な財産であることは言うまでもありません。AIITで育めた自信とは、頭の中でおもちゃ箱のように雑多な状態だった知識を引き出しに整理し直し、課題に応じて素早く的確に取り出せるようになったことにあります。こうして体系化された知識と経験が、コンサルタントとしての厚みとなっています。