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多様性に富んだ同級生との刺激に満ちた議論

川原田

事業設計工学コース
川原田 雪彦さん 
2022年修了
技術コンサルタント(フリーランス)
上智大学 出身

MOTとは異なる未知の教育と出合う

技術開発や研究の仕事には、その成果が事業化されない「死の谷」が付いてまわります。化学メーカーで3 0 年間新製品開発に従事した私も、何度か辛酸をなめさせられました。

定年退職後はその経験も含め、仕事を通して身に付けた知識・ 技術を次世代に還元したいと思い描いていた私は、「 死の谷」 のリスクを最少化するための学び直しを考えるようになりました。「死の谷」 の回避法はネット上でも散見しますが、どれも“ 腹落ち”しません。そこでMOT大学院への入学を計画し、説明会に参加しました。しかしカリキュラムが学術的な経営学に偏っている印象を持ち、技術の現場との接点が見いだせません。

AIITに事業設計工学コースが開講されることを知ったのは、そのように学び直しの場を決めきれずにいた時期。資料に書かれた「工学的な設計手法や最適化手法を活用し、産業技術分野に経営学の知見と科学的手法を導入した」教育プログラムは、私が求めていた内容だったのです。こうして定年を迎える半年前、私はAIITに入学しました。

会社内にはなかったフラットな意見交換

在職中も勉強を怠っていたとは思っていません。しかし技術屋の性でしょうか、最先端技術をキャッチアップするにしても、仕事に直結することだけに目が向いていました。そのことを、AIITで学び痛感します。

AIIT の授業は講義であってもグループ学習が多く、議論する機会が頻繁に設けられています。一緒に学ぶ学生は、入学までの経歴や専門分野、年齢も様々。ここでは、そうした同級生とフラットな関係で議論します。会社での会議のように、相手の立場や役職に配慮した“ 遠慮” がない意見交換には、発見が満ちています。企業経営やマーケティングをはじめ地域経済や観光など、在職時は視野に入らなかった分野から思いも寄らぬ知見が得られます。

技術コンサルタントの引き出しを増やせた

学生主導で進めるPBLは、特にその特徴が顕著です。SDGsへの取り組みが企業価値にどのような影響を与えるかを検証したPBLでは、経済学や証券市場など未知の分野にアプローチ。非財務情報の分析に用いたテキストマイニングについても、在職中に使った特許文献の分類とは異なる活用法を身に付けることができました。

定年後、フリーランスの技術コンサルタントとして新たな一歩を踏み出しました。30年以上をかけて培った開発技術を仕事の基盤としつつ、顧客の現状を正しく分析・判断し、それを分かりやすく伝え改善策を一緒に考える上で、AIITでの学びが臨機応変に活用できる引き出しを形成してくれました。また関心を向ける分野が専門以外の領域にも広がり、AIIT修了後もここでミクロ計量経済学についての共同研究に取り組んでいます。

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