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第138回コラム「コロナ禍のリモート帰省方法」

2022年2月7日

大久保 友幸 助教

 新型コロナウイルスが蔓延し始めた状況で,実家に帰省することもままならない時期が続いている.緊急事態宣言が出ている2020年4月-5月,2021年1月-3月,2021年4月-9月では,県をまたぐ移動を自粛するように要請されており,オンライン帰省やリモート帰省が提唱されて,活用されるようになってきた[1].
 AIITに着任してから5年が経過した私であるが,うれしいことに着任中娘が生まれ,2020年で2歳である.孫ができて,祖父祖母も孫にも会いたいと思うのに,満足に県外に移動して帰省することができない状況となった.そこで,我が家でもリモート帰省を取り入れることとした.

 しかしながら,実家はITとは無縁の家庭であるために,この導入はなかなか難しかった.まずインターネットの回線がない.そのため,PCを使ったリモート帰省はまず第1に出来ないことが分かった.スマートフォンの操作も慣れないということで,LINE等のビデオ通話も難しかった.そこで,こちらでデバイス類の設定をして,実家に送付することで活用してもらうこととした.幸いな事に,Amazon の Alexa搭載デバイスのEchoシリーズの中では,画面付きのデバイス,5インチ,7インチ,10インチと複数存在する.Echoシリーズには,通話機能として同じアカウントを使用しているデバイス同士は簡単に通話できる「呼びかけ」機能が存在している[2].そのため,この機能を利用することとした.
 インターネット回線は,光回線を引くためにはどうしても工事が必要でありいままでインターネットを使用していなかった家庭には少々ハードルが高い.そこで,携帯電話のデータ回線をネット回線に使用できるLTEホームルーターを使用することとした.LTEホームルーターに格安SIMと呼ばれるMVNO通信サービスのSIMを入れた.これであれば,こちらで設定をあらかじめ行った上で,宅配でLTEホームルーターとAmazon Echoのセットを送ることで,使用可能となる.

 これで,オンラインによって直ちに会話が出来る環境が整った.このセットが宅配で届いたら,LTEホームルーターとAmazon Echoを電源に接続してもらった上で,こちらから呼びかけを行った.無事,問題無くビデオ通話を行う事ができた.
 ただし,2歳の娘は最初は喜んでいたが,数週間か経った段階で飽きてしまったようである.理由を聞くと「話してもバァバと会えないから」と言っていた.やはり対面にはかなわない.緊急事態宣言が解除されて,新型コロナウイルスの感染が落ち着いた状況で,帰省もした.
 オフラインの対面では,毎日は顔を合わせることはできない.毎日は帰省することができない.ただし,オンラインでの帰省は短時間であれば,毎日でも行うことが出来る.そこは利点である.通常の帰省の代用品としてリモート帰省を導入した.しかしながらビデオ通話によるリモート帰省も良い点があることも分かった.リモート帰省と帰省,双方に利点があるもの欠点もあることも分かった.
 コロナ禍ということで予期せずシステムを組み上げることとなったが,学ぶことが多い機会となった.

[1] 朝日新聞デジタル: "接触8割減へ、10の提言 緊急事態2週間、専門家会議 首相「GW、オンライン帰省を」", https://www.asahi.com/articles/DA3S14452383.html, 2022年1月25日閲覧

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