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学び直し後>起業
独立して10期目を迎えAIITを経て新製品を完成

小坂 耕平さんの画像

創造技術専攻 2016年修了
大東文化大学 出身

表面測器製作所 代表 小坂 耕平さん

自社製品の開発につながる知識を求めて学び直し

 製品開発に欠かせない物性測定器は、国内外のメーカーがハイエンド化を競い合っています。測定器メーカーで海外事業を担当した経験から、簡単な操作で誰でも使いやすく、現場や用途を選ばないポータブルな測定器の必要性を感じていました。

 そうした手軽な物性測定器の開発・販売を目指し、30代前半で独立しました。当初は電源を必要としないアナログの製品を考えましたが、精度を求めればかえって高額に。市場へのアピールも限定されるため、ひとまず個人事業主としての看板を掲げたまま、外資系企業に再就職しました。

 そうして30代の半ばを過ぎた頃、マイコンやセンサの価格が手頃になり、アイデア実現のハードルが下がってきたことで、改めてデジタル機器での可能性を探り、プロダクトやアプリケーションの開発に関する知識と技術をAIITの教育に求めました。

アイデアを具現化しストックする技術を修得

 AIITへの入学は、個人の事業を名実ともに稼動させるための、測定器開発につながる学び直しが目的です。具体的には、プロトタイプの作成と産業材料に関する知識の修得でした。

 産業材料は測定対象であり、その特性がアプリケーション開発の前提となります。入学時点でプログラミングは未経験だった私がイチから学び、修了後も継続することにより測定器が測ったデータを解析するアプリケーションをつくりあげるまでになり、マイコンを組み上げる技術も身につけました。

 PBLでは、自然界のどこにでもいる珪藻を使った材料開発に挑みました。まずは珪藻を有機物と無機物に分離。私はそのうち無機物のシリカを原料にした樹脂用の難燃性添加物や、超親水塗料になる化合物などをつくりました。化学実験は高校の授業以来。化合物をつくったのは、このときが初めてです。こうしたPBLでの経験はその後、自社製品が使われる現場の理解につながります。

 こうした学びがもたらした最大の効果は、アイデアをすぐに具現化できるようになったこと。アイデアをスケッチやメモといった平面の記録や、ましてや頭の中の構想にとどめず、思いついたらマイコンとセンサを組み、プログラムを書いて機能を実験できます。つまり、アイデアを具体的な形にしてストックできるようになったのです。

学生の質が支える学びの効果

 2年の就学で、なぜそこまでの学修効果を得られるのか? それは、実務経験が豊富な教授陣をそろえた教育体制とともに、学生の質もあると思っています。私見では、仕事を通して学んだことは得るものが大きいと考えており、AIITで学ぶ社会人学生とは、その学びを経験した上で、さらに自分を高めようとしている人たちです。しかも授業では、畑違いの人や年齢が異なる人が協働して、プロジェクトの計画から研究発表まで取り組みます。私もその輪に加わり刺激を受け、自社製品の開発に漕ぎつけました。

 個人事業主として起業したビジネスが10期目を迎え、ようやく真のスタートを切ります。

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