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学び直し後>起業
開発現場での発想の殻を破り経営者の思考に視線を届かせる

情報アーキテクチャ専攻 2012年修了
駒澤大学 出身

澁谷経営コンサルティング 代表 澁谷 宗紀さん

経験的に身につけた知識を体系的に再理解する

 新卒で社会に出て10年超、システムの受託開発に携わってきました。そのノウハウは全て仕事を通して覚えたものですから、体系的な知識はありません。それでいて担当する仕事は、金融系システムの開発という超大型プロジェクトばかり。システムの全貌はもちろん、自分の仕事が開発全体のどこに関わっているのかが分かりません。

 AIITに求めたのは、システム開発の上流を知り開発の全貌を収める視野と、下流に至る過程や各工程で求められる技術を理解することでした。また、それにより経験的に身につけた知識を体系化するとともに、システム開発における自分の役割の明確化も期待しました。入学の段階でAIITの学びはあくまでも会社員として、担当業務のスキルアップを図り、仕事の流れをより円滑にすることが目的だったのです。

 一方で私は将来の独立も想定し、AIIT入学に先んじて中小企業診断士の資格取得を目指す学びに取り組んでいました。当初は全く別ものとして捉えていた2つの学びだったのですが、それぞれタテ糸とヨコ糸になって、独立後の私を支えてくれることになります。

ビジョンと実務の溝を埋めた1.5列目の経験

 入学後の私は技術系の科目よりも、システム開発の上流の理解に力を注ぎました。ここでいう「上流」とは開発の前提となる経営ビジョンや経営計画に関する領域です。そのため授業に企業経営者が招かれ、自社に導入したシステムに関する解説を受けたことは、とても有益でした。

 講師だった経営者が語ったのは、システム導入の意義。それは開発現場が腐心する「どのようなシステムを開発するか」の前に位置づけられる、「何のためにシステムを導入するか」という経営課題です。それを語る経営者の言葉により、システム開発に向けた私の目は、小さな一部分しか見ていなかったことに気づきました。

 PBLでは、実在するクリニックの業務改善を促す概念データモデルを作成しました。オーナーの考えや医療現場の声を1列目、開発から実装までを2列目とするなら、システム設計は1.5列目。2年次に進級するタイミングで資格を取得できた中小企業診断士は1列目と関わりが深く、私の実務経験は2列目の端にあります。それらをつなぐ1.5列目を理解することで、入学時に望んだシステム開発の全貌を視野に収めることができると考えたのです。実際、PBLを進めていく過程で、中小企業診断士になるための勉強と実務経験との間に感じていた溝が次第に埋まっていく感覚を得ることができました。

AIITで得た知見が開拓した独立後の新たな実績

 AIITを修了して6年後、会社を退職し個人事業主として独立しました。独立後は、かつて籍を置いた会社にシステムエンジニアとして関わる仕事と、中小企業診断士としての仕事がちょうど半々くらいの割合です。それらの仕事で、AIITで学んだことを直接活かす機会は正直ありません。しかし縁あって開拓できた独立行政法人との仕事は、AIITで得た知見なしには引き受けることができなかったものであり、私の新たな実績となりそうです。

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