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山本 良一理事長 挨拶

山本理事長①

東京都公立大学法人理事長として、法人を代表して一言ご挨拶申し上げます。皆様、本日はご入学おめでとうございます。教職員一同、皆様を歓迎します。
昨年、世界の平均気温は観測史上最高を記録し、同時に、過去10万年間を取っても最も暑かった1年と言われています。産業革命前と比較すると1.45℃上昇し、気候の防衛ラインであるパリ協定の1.5℃目標は、風前の灯となっています。こうした現状を、国連のグテーレス事務総長は、「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が始まった」と表現しています。この急激な温暖化の主な原因は化石燃料由来の二酸化炭素ですが、それが毎日1億トンも大気中に放出されています。その結果、1日に地球表面に蓄積される熱量は、広島型原爆60万発分に匹敵するエネルギーです。それも、その89%は海洋に、6%は陸地に蓄積され、4%は氷河を融解させているのですが、大気を温暖化させているのは残りのたった1%なのです。

この危機に対して、東京都公立大学法人は、3年前に国公立大学では初めてとなる気候非常事態宣言を発表しました。現在はカーボンニュートラルに向けた具体的な行動計画に基づき取組を実行しているところです。しかし、この問題はあらゆる学問分野を総動員し、あらゆる産業分野が協力しなければ、解決することはできません。皆さんはこのようにあらゆる境界線を越えて社会が大転換していく時代に巡り会えた世代であり、将来に多くの可能性を秘めた幸運な世代とも言えると思います。

山本理事長②

さて、東京都立産業技術大学院大学は、数多くの優れた教授陣による、熱心な教育の場を有しています。言うまでもなく大学は万人に開かれた学問の府であり、自由な研究と教育を通じて、学問を継承・発展させる場所です。皆さんは今日、その大学の一員となったわけです。したがって、魂のすべてを挙げて真理に赴かねばなりません。「『役に立たない科学』が役に立つ」という、アメリカのプリンストン高等研究所の所長らが記した本の一節に、自由な発想によって行われた研究が、長い年月を経て社会を大きく変革してきたとあります。ぜひ皆さんは、本学にあるものを大いに活用し、なによりも自由に、真理の探究に没頭し、邁進してほしいと思います。
これから同期となる学友や先生との運命的な出会いも待っていることでしょう。
そのような出会いは皆さんの長い人生における宝物です。是非大事にしてください。
これをもって理事長の挨拶といたします。

2024年4月6日
東京都公立大学法人 理事長  山本良一

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