中山泰男 理事長 挨拶
東京都公立大学法人理事長として、法人を代表して一言お祝いの言葉を申し上げます。
本日晴れて学位授与式を迎えられた皆さん、誠におめでとうございます。また、ご来賓の皆様、ご関係者の皆様におかれましては、多大なるご支援・ご協力賜りまして心から御礼申し上げます。
世界は今、激動の時代を迎えています。昨今の中東・南米を巡る状況など、海外情勢がますます複雑化し、戦後の国際秩序も大きく変容しています。これに伴い、国際的な経済・安全保障環境の不確実性が高まっています。加えて、大規模な地震や豪雨による洪水、山火事といった自然災害が各地で多発するなど、一国では解決できない問題が世界に広がっています。国内においても少子高齢化や物価高騰、資源・エネルギー政策、急速に進展するAIへの対応など多くの課題があります。しかし一方で、日本経済は長いデフレを脱し、停滞から成長への転換点を迎えています。
こうした中、日本はこの機を逸することなく成長を遂げ、国際社会の一員として諸外国とともに、直面する難題を解決していかなければなりません。日本の首都である東京には集積の力と多様性という大きな強みがあります。その証左として、「世界の都市総合力ランキング2025」において、東京は初めて2位となりました。こうした強みを持つ東京が、地方とも連携し各々の特性を生かしながら、日本経済を牽引し、成長させることが重要です。そのためには、社会や産業の急速な変化に対応し得る高度な専門性と柔軟な思考力を備えた人材が不可欠です。
さて、ここ東京都立産業技術大学院大学は、東京都が設置した専門職大学院です。専門的知識と体系化された技術ノウハウを活用して、新な価値を創造し、産業の活性化に資する意欲と能力を持つ高度専門職人材の育成を目的としています。毎年、産業界のニーズを把握し教育内容に反映させており、幅広い年齢、多様なバックグラウンドをお持ちの皆さんは、本学の教育を通じ、真に役立つ実践的なスキルやコンピテンシーを身に付けられたかと思います。先月行われたプロジェクト成果発表会では、社会課題に即した興味深いテーマごとに、チームの仲間とともに、在学中に身に付けたすべての力を発揮されたことでしょう。私もオンラインで拝見しましたが、皆様の力のこもった発表に感心しました。このPBLの取組は素晴らしいものです。みなさんは、この新たに身に付けた力を深化させ社会に生かしていただくとともに、これらアイディアの種を大切に育て、ぜひ将来花咲かせていただきたい。このように、多くの方が働きながらも素晴らしい成果をあげられ、本日修了の日を迎えられたことに敬意を表します。
高度専門職業人として一段と成長された皆さんが今後活躍する様々なフィールドにおいて、最も重要なことは、イノベーションを起こすことだと考えています。イノベーションは新たな価値やものごとを生み出すことであり、本日修了を迎える皆さんの力で起こすことができるものです。なぜなら、そのために必要な2つの力を、皆さんは本学で身に付けてこられたからです。1つは、PBLを始め本学での学修を通じて身に付けた主体的に考え、行動する力です。もう1つは、仲間や教員との交流などで身に付けたコミュニケーション能力です。この2つの力を身に付けた皆さんが多様な方と交流することでイノベーションが生まれます。不確実性が高い時代だからこそ、イノベーションは、必ずや現代社会の発展につながるものです。私は、皆さんが生み出すイノベーションが、東京、ひいては日本の産業・社会の国際競争力を高め、世界的な課題を解決していくカギとなると確信しています。
皆さんは、この先、様々な道に歩み出されます。どのような分野に進まれても、世界のどこに行かれても、先を見通すことができない困難な問題に否応なく向き合っていかなければなりません。困難な壁にぶつかったときには、本学で学んだ日々を思い出し、得た知識や経験を仲間と共に力に換えることで、広く社会に貢献されることを願っております。そして、本学の修了は有意義な通過点の1つという意識の下、これまで以上に自ら進んで、そして時には仲間とともに学び、考え続け、新たな挑戦に向け、ご自身の能力を高めていただきたいと思います。
皆様が身に付けた知識、能力を存分に発揮し、社会で更にご活躍されることを祈念いたしまして、お祝いの言葉といたします。
本日は、本当におめでとうございます。
2026年3月21日
東京都公立大学法人 理事長 中山 泰男