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石島辰太郎学長 式辞

学長

 本日は情報アーキテクチャ専攻48名、及び創造技術専攻49名、合計で97名の新入生を迎えることになりました。

 入学された皆さん、さらには皆さんの大学院入学に理解を示し、皆さんを支えていただけるご家族の方々をはじめ、関係各位の皆様方、大変おめでとうございます。

 世の中は、東京オリンピック招致やアベノミクスなどの効果によって、リーマンショックあるいは東日本大震災、それに続く円高といった長い間続いていた経済不況の混迷の出口がようやく見え、明るい兆しが感じられる今日この頃でございます。

 特に今日は、まだ咲き誇ります桜がほぼ満開で、そういう意味では華やいだ雰囲気に包まれております。しかし、社会を支える産業の現場では、日々益々鮮烈な競争がグローバルな意味で繰り広げられているのが現実であります。こうしたグローバルな産業競争のもとで日本の産業力を維持していくカギは、産業を支え、発展させていく力と意欲を持った人材であることは論を俟ちません。

 皆さんが入学された産業技術大学院大学は、公立大学法人首都大学東京の傘下にある、高度専門職人材つまりはプロフェッショナル人材を育成することを目的とする大学院大学であります。

 皆さんをお迎えするこの入学式は、本学にとって、設立以来10回目となる記念すべき入学式でございます。

 本学の設立理念は、実務に通じた真のプロフェッショナル人材を育成し、東京の、延いては日本の産業の発展に貢献していくことにあります。

 本学の特徴は、まさしくこうした真のプロフェッショナルを育成する目的で教育体系や教育の仕組みが設計・構築された、たぶん、言い過ぎではないと思いますが、日本で唯一の大学であるということにあります。

 たとえば、通常の大学は半年を単位とするセメスター制を敷いておりますが、本学では可能な限り効率的に皆さんに知識やスキルを修得していただくために、全国の大学に先駆けまして、1年間を4つに分けるクォーター制を全学的に導入しています。

 また、実務で必要となるチームマネジメントの能力を強化するために、実践型グループ学修のPBL(Project Based Learning)といわれる学修形態を修士論文の代わりに導入いたしまして、実務能力である業務遂行能力を徹底的に向上させることに努めております。

 さらに、本学の学生の方々は、すでに社会経験を持つ社会人の方々が大部分となります。年齢的にも、専門性や経験といった面でも、極めて多様でございます。この多様性は、本学が持つ極めて大きな財産であります。卒業生の多くが在学時代に自分が成長したカギはこの多様性にあったということを指摘しているところであります。このことを反映して、在学生の約10%弱を占める会社経営者や個人営業主の方々をメンバーとするAIIT社長会という組織を一昨年設立いたしました。社長会は皆さんのキャリアを側面から強力に支援する活動を始めてくれております。

 本学にはこのほかにも、皆さんの学修生活と実務レベルでの活動の舞台を支えるべく、ほかの大学にはない様々な仕組みが準備されています。

 アジアの大学を結ぶAPEN(Asia Professional Education Network)といった活動もそのひとつでございまして、アジアの専門職教育に関心を持つ大学のネットワークとして出発いたしましたが、今は、産業界や団体を含めて、28組織が加盟する産学連携の事業プラットフォームとなりつつあります。この活動が評価されまして、今年は本学が国際機関でありますASEANに提案しておりました事業提案が採択され、大学にとっては非常に誇らしいニュースが飛び込んできたところでございます。

 本学は2つの専攻だけの小さな大学院大学ではありますが、このように冒険がぎっしりと詰まった大学でありまして、皆さんの学修と実践の場として大いに活用していただけるものと確信しております。

 10周年記念を迎えます本学の今後の発展は、今日入学されました皆さんの双肩にかかっているといっても過言ではございません。

 最後に、本学への入学を選択された皆さんが、この地で夢とエネルギーを今日から全面解放していだだいて、本学での学生生活を実り豊かなものとされますようにお願いいたしまして、私の式辞といたします。


 平成27年4月4日


産業技術大学学長 石島 辰太郎

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