English

川淵三郎理事長 挨拶

川淵三郎理事長

 皆さん、入学、まことにおめでとうございます。

 こうして見回してみると、若い人から年配の人、入学式が始まるぎりぎりに入室してくる人など、働いている人が学ぶ大学院大学という、他の大学とは違い、ある意味で新鮮な、こうした雰囲気もそれなりにいいものだと思って見ていました。

 これからの時代、日進月歩というよりも、もっと早く進んでいく社会になっていくと思います。私は、1961年、今から54年前に会社員として勤め始めましたけれども、その時の初任給が1万8千750円、それに対して当時のトヨペットだったと思うのですが、だいたい車が100万円もしていました。だから私は一生、自分の車を持てないだろうと思っていたのです。しかし、その13年後に中古車ですけれども買うことができました。それほど世の中が日進月歩で進んでいき、快適な社会、住みやすい社会、便利な社会がどんどんとできあがって、それと共に仕事の量も山ほど増えていったのです。ところが、今の時代というのは、かなり機械化、情報化、技術化が進んで、ロボットが人間に代わって仕事をするようになっています。今から10年、20年後には、総仕事量の50%以上の仕事をロボットがするようになるだろうと言われています。そして、人工知能、これは世界のいろいろな科学者がすでに言っていることですが、この人工知能が30年後、2045年には人間の脳の能力を超えるだろうと言われています。そうなると、いったい今の社会の中で行われている、いわゆる昔ながらの仕事の何割が減ってしまうのか、たぶん、相当量減るでしょう。そういった中で、これから皆さんは生きていかなければならない、そのためにどうしなければならないか。技術や情報の進歩は、人間の生活を豊かにし、より楽しく、より活発に暮らしていくための技術であるはずですけれども、仕事という面から言うと、私たちの時代とは違って、そんなに多く増えていくことにはならないと思います。しかし、こうしたことをネガティブではなく、ポジティブに捉える必要があると思います。

 この産業技術大学院大学で学ぼうという意欲に満ちた姿勢のある皆さんは、社会の大きな変化に対応し、順応していく、そういったものに入り込んで進化と共に会社の中でよりよい働く場を求めていける人たちであると確信しています。また、この大学院大学で学ぶ2年間だけではなく、生きている限りこうした姿勢を持ち続けていける人であると、私は信じています。この大学院大学での2年間が、これからの世界に向けて自分の地位をしっかり持てるように、自分の考え方をしっかりと発揮できるように、そうしたことをここで学んでくれることを心から願って、私のお祝いの言葉とさせていただきます。


 平成27年4月4日


公立大学法人首都大学東京 理事長 川淵 三郎

PAGE TOP