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学び直しながら>起業
アイデアの在庫を授業で増やし能力開発の課題を解決する

堀 貴史さんの画像

創造技術専攻 2016年修了
明治大学 出身

リープ 株式会社 代表取締役 堀 貴史さん

計画実行が加速し在学中に起業

 AIITへの入学は、将来の起業を想定してのこと。会社を立ち上げるにあたっては、既存でない魅力的なサービスの創出が欠かせません。私はそれまで蓄積した人材開発や組織改革のノウハウをさらに発展させる、新たな知見と独自のスキルをAIITで得ようと考えました。つまり、ここで学ぶ2年間は会社を興す準備期間。事業の具体化は、修了までにじっくり考えるという計画だったのです。しかし入学の1年半後、私はにわかに会社を興します。思いも寄らぬスピード起業となりました。

 振り返ればその予兆を、入学して間もなくに感じていたようにも思えます。社会人学生としての心構えさえおぼつかないまま出席したガイダンスの直後から、授業は新鮮な驚きと仕事に直結するヒントに満ちていました。密度の濃い授業は、モチベーションの高い同期生の強いまなざしと相まって教室に知的な緊張感をもたらします。その雰囲気が、起業に向けた私の意欲を研ぎ澄ませていきました。

授業を通して新サービスを構築

 感度を高めた私のアンテナは、授業から起業後の事業につながるアイデアを感知します。例えば、統計解析やビッグデータ解析などを学んだ品質工学や信頼性工学の授業です。

 人材開発の現場で常に課題とされたのは、評価の基準でした。教育を受けた従業員が、どのような能力をどれくらい伸ばしたか、これを感覚に頼らずに評価し、一目で分かるように表すことが求められていました。長年そうした課題に直面してきた私は、授業で学んだ統計解析の手法を、能力開発の評価・分析に応用したり、人間中心設計などのデザイン手法を人材教育のトレーニングに取り入れたりすることなどを思いつきました。授業は、従来の課題を解決するビジネスのアイデアを、在庫として仕入れる感覚でした。

 こうした学びを重ね、私は起業する会が提供するサービスの特徴を整理していきました。AIITでの学びと、ビジネスモデルの構築が並行して進んでいったのです。また、アカデミックな根拠に基づく実践的な講義は、経験上の感覚を確かなエビデンスで裏づけ、起業の方向性に対する自信を支えてくれました。

学びと成果創出を実現するPBL

 現在、当社が人材開発ソリューションとして提供する教育プログラムも、2年次で取り組んだPBLのプロジェクトをもとに構築したものです。

 私は、企業の成果創出と人材育成を両立するには、理論・理屈に基づいた教育設計とアクションラーニングが効果的だと考えていました。PBLは、その考えを確信する場となりました。付け加えればPBL自体が、企業で実践すべき学習スタイルそのものであり、私はそれを受講する立場で経験することもできたのです。私が抱き続けた問題意識とPBLでの経験を合わせて生まれた教育プログラムは、いまでも当社が自信を持って提供できる人材開発ソリューションの核となっています。

 AIITで巡り会えた教授陣、同期生、学ぶ環境のどれ一つ欠けても、現在の私はあり得ないと考えています。

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