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中山泰男理事長 挨拶

東京都公立大学法人理事長として、法人を代表して一言ご挨拶申し上げます。
皆様、本日はご入学おめでとうございます。ご家族の皆様にも心からお祝い申し上げます。教職員一同、皆様を歓迎します。
皆さんは、多くの方が社会人として働きながら高い目的意識を持ち、本学に入学されたことかと思います。働きながら学ぶことは大変ですが、これまで努力されてきた皆さんであれば、初心を忘れず学業に邁進できることと思います。

世界は今、経済・社会・テクノロジーなど、あらゆる分野で目まぐるしく変化しています。複雑化する国際情勢や国内外の経済、各地で頻発する災害など、世界の動きを見据えるグローバルな視点を持ち対応していかねばならない問題が山積しています。
日本においては、少子化・人口減少や国際競争力の低下が著しく、スイスのIMDというビジネススクールが公表している世界競争力ランキングを見ると、かつて日本は1位でしたが、2024年には38位まで順位を落としています。
この間、東京は、日本経済を牽引する役割を担っており、世界の主要都市の総合力を評価する「世界の都市総合ランキング2024」で9年連続3位と高い評価を得ています。日本経済がようやく長いデフレを脱し、縮小型から成長型へと好循環に乗り始めた今、東京はその牽引者として一層の国際競争力強化を図っていく必要があります。東京には、首都が有する集積の力と多様性という大きな強みがあり、ここから生まれるイノベーションが、世界における日本の位置づけを高める原動力となります。

東京都立産業技術大学院大学は、東京都が設置した専門職大学院です。専門的知識と体系化された技術ノウハウを活用して、新たな価値を創造し、産業の活性化に資する意欲と能力を持つ高度専門職人材の育成を目的としています。独自のPBL(プロジェクトベースドラーニング)型教育などにより、課題を達成する過程で真に役立つ実践的なスキル及びコンピテンシーを身に着けることができます。そして、今年度から新たな取組を開始します。産業技術界の次世代に対応できるDXリーダーを養成する教育プログラムをはじめます。これらを活用し、皆さんは、お一人おひとりが持つ能力を存分に伸ばしてください。
本学の修了生は、企業に戻り活躍される方、起業される方も数多く、雇用流動化が求められる今、本学はまさに求められている大学です。皆さんは、高度専門職人材として更に成長し、社会で活躍することが期待されています。その期待に応えるべく、私自身、これまで培ってきた人的ネットワークも最大限活用し、産業界や金融界の課題やニーズをいち早く捉え、皆さんに対して変化する実社会を踏まえた学びの環境を整備していきます。

さて、皆さんが日本、ひいては世界で活躍していくために重要な力とは何でしょうか。私は、2つの力が重要であると考えています。1つ目は、主体的に考え行動する力です。変化が激しい現代においては、自ら学んだ内容や経験に基づき、自ら考え行動していかなければなりません。明確な目的意識を持ち本学に入学されている皆さんには、既にこの力が備わっていると思いますが、視野を世界的な課題解決に拡げ、本学でこの力をさらに磨いてください。2つ目はコミュニケーション能力です。「人」との交流無くして、社会は成り立ちません。本学は、学生、教員ともに様々な年齢、バックグラウンドを有する方が多く、この多様な仲間とともに学ぶ環境が整っています。これから出会う仲間や教員と大いに語らい、議論をしてください。中国の思想家孔子は、論語の中で、「学習」という言葉の「学ぶ」とは、「書物や他人から教えを受けること」、「習う」とは、「身に着くまで何度も繰り返し復習すること」と説いています。謙虚な姿勢で学びを続けてください。コミュニケーションをとりながら、多様な考え方に触れ、「学習」を続けることで、学んだ知識などを社会に貢献できる力に昇華させていってください。
そして、この2つの力を身に付けた皆さんが交流することでイノベーションが生まれます。イノベーションは新たな価値を創造するものであり、現代社会の発展につながるものです。私は、本学で一段とレベルアップした皆さんがイノベーションを生み出し、東京、日本の国際競争力を高め、そして世界的課題を解決する役割を果たしていくことを期待しています。

最後に、本学で過ごす時間は、人生における限られた時間であり、何にも代えがたいものになると思います。そこで得られる知識、仲間、経験は人生の宝になります。皆さんが、一瞬一瞬を大事にして、充実した時間を過ごされることを祈念いたしまして、お祝いの言葉といたします。
本日は本当におめでとうございます。

2025年4月5日
東京都公立大学法人理事長 中山泰男

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