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講義内容紹介

 1年次は、ものづくりに必要な体系的な知識と業務遂行に求められる基礎知識を学修します。

 2年次は、PBLを通じてマネジメントに活かす業務遂行能力を獲得できるよう段階的に設計されています。PBL型科目による教育の目的は、主に1年次の科目で学修した知識を実践の場で経験する機会を提供して、修得した知識を適切に使いこなせるようになることと業務遂行能力(コンピテンシー)の養成にあります。また、PBL型科目による学習では、修得した知識をそのまま使用するだけでなく、学生に知識の応用力を養う場を提供します。

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創造

創造技術基礎科目群

人間中心デザイン特論

ICT の発展で人、製品、サービスがデジタルでつながるようになり、既存ビジネスを創造的に破壊するような新しいサービスビジネスが次々と登場している。MaaS(Mobility as a Service)に代表されるように、様々なモノが XaaS(X as a Service)化しており、製品を選んで(購入して)もらうことだけでなく、顧客に選び続けてもらうことが重要になっている。顧客にとって魅力的で使いやすいということに加え、高いレベルの体験価値を提供できるかがビジネスの成否を左右するようになってきた。製品やサービスのデザインに携わる者が当然備えておくべきマインドセットが人間中心デザインである。人間中心デザインの基本となるのは「人間中心設計」(HCD, Human-Centred Design)ならびに「UX デザイン」(User eXperience Design)である。エンジニアの行う「設計」が人工物内要素重視設計であるのに対し、人間中心デザインは人工物外要素重視設計に時間軸に関する視点を加えたものであり、建築家やインダストリアルデザイナーの暗黙知を形式知化したものと言えよう。また、このデザイナーの暗黙知の上流工程のみをノンデザイナー向けにパッケージしたものが「デザイン思考」である。
Henri Bergson(*1859-†1941)は人間はホモ・ファベル(Homo faber,「作る人」)とした(『創造的進化』(1907))が、そうではなく人間はホモ・ルーデンス(Homo ludens,「遊ぶ人」)である、と Johan Huizinga(*1872-†1945)が喝破したのは 1938 年のことである。従来の設計ではムリ・ムラ・ムダを排することに努め、効率化を図って来たが、むしろムリ・ムラ・ムダの効用をいかに高めるかが人間中心デザインの肝である。本科目では人間中心デザインの考え方と代表的なツールを学び、実践的な課題を通して習得する。

デザインマネジメント特論

近年、デザインの概念や手法論は様々な分野への拡大が著しいが、デザインの言葉自体の定義も含めて、その解釈は様々である。本講義は、インダストリアルデザイン分野を中心に、デザインの意味とデザインマネジメントの大きく二つの視点から考察するものである。
一つ目は、良いデザイン/魅力的なデザイン/売れるデザインを生み出し保証する開発プロセス/戦略、そのための資源としての組織/人材というような狭義のデザインマネジメントである。
二つ目は、商品の企画から最終的に製品がユーザーに使用されて生まれる UX までを一貫してコントロールすることや、デザインをブランド構築やコーポレートアイデンティティ構築にかかわる重要な経営資源としてどう活かすかというような広義のデザインマネジメントの視点である。それぞれに多くの事例を研究学習し、デザインマネジメントに関する基本的な知識と考え方を身に付けることで、 デザイナーやデザイン部門のマネジメントを推進していくための能力と思考方法を獲得することを目指す。

インテリジェントシステム特論

インテリジェントシステムを実装するためのコアとなる技術として、人工知能(AI)が注目されている。特に実世界で動作するインテリジェントシステム(≒エージェント≒AI)の知能は、「認識」、「思考」、「行動」に3つに分けることができる。本講義では、これらの3つの知能のうち最も基礎的であり、かつ、中核にある「思考」に関連するトピックを紹介する。特に、現在の状況をセンサなどで認識した後に、どのように行動したらよいのか考えるための「推論」や、ネットワークで接続された複数のインテリジェントシステム(≒エージェント)間の「協調」に関するトピックを紹介する。

プロダクト・イノベーション科目群

設計工学特論

設計においては、常に留意すべき着目点がある。また、設計を効率的に間違いなく進めるために、それぞれの設計ステージで発生する課題に対処する具体的な手法も有効である。これら着眼点とプロセス手法の観点から、良い設計をするための方法論を示す。本科目では、設計する上で根本となる概念について解説し、続いて具体的な手順すなわち技法や手法に落とし込む形で説明することを方針とする。毎回の授業では、授業内容に該当する問題解決手法を示し、その手法について簡単な演習を実施する。演習を通じて設計プロセスで生ずる問題の特徴や、システマティックな解決のあり方を説明する。

プロトタイピング工学特論

創造技術におけるプロトタイピングは計画されたプロダクトの持つ性質を早期に表現する手法及びその過程であり、機能だけでなく感性的なものまで含まれる。
本講義では、"ものづくりアーキテクト"として求められるプロトタイピングの知識とその運用力を習得する。講義とチーム、個人ワークを組み合わせて学び、3DCAD スキルの修得、ラピッドプロトタイピングの活用を通してイノベーティブなアイデアや商品・サービス創出におけるプロトタイピングの有効性について理解する。

システムインテグレーション特論

システムインテグレーション(SI; System Integration)特論は、元来の意味であるシステムを実現するため、要素技術が賢くインテグレーション(統合)され、システム全体を構築する方法を学ぶ。そのために、SI の各種要素技術、実際例、特徴に関する知識とスキルを身につけることにより、SI 設計に関する体系の理解を実践的に学ぶ。

品質工学特論

本講義では、品質工学の中核的手法である「パラメータ設計法」「機能性評価」「MT システム」について学習する。パラメータ設計は、開発者の名前をとって「タグチメソッド」と呼ばれたり、その目的から「ロバストデザインメソッド」と呼ばれたりもする。その内容は、市場での品質トラブルを未然防止するための設計手法である。機能性評価は、品質ではなく機能を評価するための手法であり、開発設計を効率化することを目的とする。そして、MT(マハラノビス・タグチ)システムは、予測や診断、判別のためのパターン認識の手法であり、現在、様々な分野において実用化が進んでいる。

信頼性工学特論

製品や設備が与えられた使用環境や使用法で、決められた期間にわたり要求された機能を果たすかといった信頼性はリライアビリティと呼ばれ狭義の信頼性を指す。機能性だけではなく安全性も損なわないというのが広義の信頼性である。最近では製品の安全性に対する顧客や社会の目がますます厳しくなってきており、製品安全の確保は企業にとって最重要の課題である。信頼性・安全性は企業のブランド構築に大きく寄与するものである。そこで本講義では、信頼性工学の基礎を学んだ後、実務に役立つ信頼性と安全性の設計手法を学ぶ。

創造設計特論

製品やサービスの設計は、企画→仕様の決定→概念設計→詳細設計の流れで行われる。本講義では、上流工程である概念設計で使える発想法や思考法を解説する。具体的には、技術コンセプトの創出に役立つ TRIZ(創造的問題解決の理論)、複雑なシステムの設計に役立つシステムシンキングといった思考法や発想支援技法を学ぶ。さらに、製品・サービスを普及させるためには、ビジネスモデルも必要となるため、ビジネスモデル構築のためのフレームワークも解説する。個人ワークやグループワークによる演習を通じてその理解を深める。

チーム設計・試作特別演習

ものづくりアーキテクトとして必要な、クリエイティビティを涵養することを主目的とする。
製品の設計とプロトタイピングによる検証・評価は一巡のプロセスで済ませることが理想だが、実際には何度か繰り返しながら行うプロセスとなる。プロトタイピングの過程で不測の問題を生じたり、要求項目を変更せざるを得ない場合も生じたりする。このようにダイナミックに変化する状況のなかで、チームとして製品を作り上げる開発・設計を演習する。
授業は PBL 形式で実施し、提示された二つの課題を対象にチーム設計を進めていく。演習を通して、企画から設計開発プロセスにおける問題やその解決法を体得する。

インダストリアル・デザイン科目群

プロダクトデザイン特論

プロダクトデザインに関して、その背景、知識、手法など関連する領域全般について広く学修し、「豊かな暮らし」 実現のためバックキャスト視点で課題を発見、提案する能力を身に付ける。
基本的なプロダクトデザインの知識・スキルを有することを前提とし、講義とグループ、個人ワークを組み合わせて学修し、一連のプロダクトデザインプロセスを体験することにより、デザイナーがもつ創造的な問題解決手法が広く企業や社会にも活用できることを知る。

価値デザイン特論

デザインの価値は、しばしば非言語(かたちや色といった視覚言語など)の操作(かたちの操作)による美的・感性的形式のありようとして議論されるが、本来的にはデザインされたシステムやプロダクトを通じてユーザーにどのような意味が提示できたか、というコミュニケーションや関係性の問題として議論することが重要である。本科目で扱う「価値デザイン」は、このデザインの価値を優先する意味の設計手法である。
講義の前半では、「価値デザイン」を理解する前提として、デザインの歴史的解釈や記号的解釈、さらにデザイン思考について学ぶ。後半では、デザイン価値に基づく設計手法について、そのプロセスを具体的な事例とともに学ぶとともに、ユーザーに提示すべき意味をいかに非言語操作で表現するかというコミュニケーションや関係性の設計について、イメージボードを用いた手法で実践的に学んでいく。

コミュニケーションデザイン特論

「コミュニケーションデザイン」は近年のデジタル技術の発達とともにその概念が大きく変化し、単純なビジュアルデザインから GUI、HMI などからインタラクションデザイン、さらには社会的な共同体との関係性構築まで概念が大きく拡大し、またダイナミックに変化を続けている。
本講義では、何かを伝えるという「コミュニケーションデザイン」に関わっていく際に必要な基本知識の習得と概念の構築、またコミュニケーションデザインの基本スキルとプロセスを学んでいく。
特に HMI(Human Machine Interface)におけるインタラクションデザインやさらに社会的な関係性の構築を目指す新概念のコミュニケーションデザインまでの事例の紹介と研究、また実践的なスモールプロジェクトを行うことで開発実務に必要な知識やスキルの習得を目指す。

工業デザイン材料特論

プロダクトデザイナー、デザインエンジニアは、使用する材料の物質的な特性だけでなく背景にある製造加工法、環境性、経済性など多くを知ったうえで製品に運用、活用することが求められる。
基本的なプロダクトデザインの知識・スキルを有することを前提とし、講義とグループ、個人ワークを組み合わせて学修し、材料視点でのプロダクト提案、プロダクトデザイン視点での材料開発提案を試みることで、デザイン価値を見出す手段として工業デザイン材料をとらえる力を身に付ける。

デジタルデザイン実習

デジタル技術の進歩が著しい今日、デジタルデータによるカタチの操作は、インダストリアル・デザインを専門的な職能とするものだけではなく、ものづくりに携わる人材にとって不可欠なコミュニケーションツールとなりつつある。本実習では、これから異分野として、もの作りやインダストリアル・デザイン領域を学ぼうとする学生を想定し、柔軟で多彩な表現を可能とする技能として、CAD の基礎技能の修得と、デジタルデータを活用したビジュアル表現やデジタルファブリケーションによる出力などの活用方法を学ぶ。

デザイン表現実習

インダストリアルデザインでは、デザイナーはその試行を2次元のスケッチや3次元のモデルに可視化、具現化することで、自身のアイデア展開を広げ、チームやクライアントに対し対象物の新たな価値や行為の可能性を提示する。このカリキュラムは、各Qで開講されるインダストリアルデザイン特別演習系科目の最初のプログラムであり、 デザイナーにとって不可欠な「思考の可視化」の基本となるスキルを実践的に学ぶ。そして、この「思考の可視化」のプロセスを身に付けることで、抽象的な概念と具体的な対象との結びつきや、カタチで考えるというデザイン思考を身体化し、デザインは必ずしも答えが1つではなく多様性が存在するという理解につなげる。
インダストリアルデザイン特別演習を継続的に履修しようという学生で、デザインの基本スキルをまだ身に付けていない学生を主対象とし、2Q以降の「かたちの操作」を行えるスキルの習得を目的に内容を構成している。

造形デザイン特別演習

プロダクトデザイナー、デザインエンジニアはスケッチやモデルによって可視化・具現化することで、対象物の新たな価値や行為の可能性を提示する。基本的なプロダクトデザインの知識・スキルを有することを前提とし、具体的なプロダクトのデザイン提案を行うことにより、「かたちの操作」、「コンセプトの可視化」の能力を高める。

プロダクトデザイン特別演習

インダストリアルデザインは、民生機器、産業機器、公共機器などの広範な工業製品とそのシステムを対象に、エルゴノミクスやエコロジーなどの機能的な視点と文化的あるいは記号的な視点を融合して、エレガントな設計解(デザイン)を導き出す手法である。それは、変わりやすさ(variability)を探索するプロセス(あるべき姿に近づくための実行可能なオプションを見つけること)を通じて、未だ存在しない人工物、製品、慣行を計画、設計するものである。そこで、この演習では身近なプロダクトを対象に、デザイン開発の基本ステップを体験し、ものづくりの基本スキルを修得する。

デジタル技術科目群

組込みシステム特論

組込みシステムとは、様々な装置に組み込まれ、装置の機能を実現するコンピュータシステムである。そして、これらの装置で動作し、装置の機能を実現するするソフトウェアが組込みソフトウェアである。本講義では、組込みシステムのハードウェアからソフトウェア開発までを網羅的に解説する。

システムモデリング特論

組込みシステムやロボットの設計では、プロダクトの形状とともに機能や動作を実現するための制御を実現することが重要である。本講義では、まず組込みシステムの開発プロセスである V 字モデルを紹介する。次に、プロダクトに要求される機能や動作のモデリング手法とモデルを用いたシステム分析・設計を学習する。オブジェクト指向モデリング、機能要求と非機能要求(性能、保守など)の仕様化などの話題を取り上げて解説する。また、ソフトウェア要求仕様書、ソフトウェア・アーキテクチャ設計書の作成演習をグループで行い、理解を深める。

ET(Embedded Technology)特別演習

動作や機能を実現する組込み技術は、近年のものづくりにおける価値創造において重要な役割を果たしている。本講義では、ラピッドプロトタイピング用の CUP ボード(mbed)を利用して、動作や機能の実現方法を演習形式で学習する。具体的には、各種センサ、モーターやドライバ IC などをブレッドボード上で配線し、目的とする動作に適合するようにプログラムの作成を行うことで、組込み技術の基礎を身に付け、ラピッドプロトタイピングのスキルを修得する。

機械学習特論

近年、人工知能(AI)がブームになっているが、そのブームの中心となっている技術は深層学習である。また、深層学習と強化学習を組み合わせた DQN(Deep Q Network)により、多くの反射的なゲームにおいて、AI がプロゲーマ以上の能力を発揮し、その成果が 2015 年に Nature に掲載されたことは記憶に新しい。その後に登場した Alpha Go では、深層学習と強化学習だけでなく、さらに探索を組み合わせることにより、AI が囲碁の世界王者に勝利することができた。本講座では、強化学習、ニューラルネットワーク、深層学習、深層強化学習、探索と深層強化学習の組み合わせ方法などを学ぶ。

AIデザイン特論

社会システムをデザインする上で重要なこととしては、社会を構成する各個人にどのようなメリットがあり、各個人あるいは分散配置された各人工知能(AI)あるいは各サービス提供者などが自分の意思で自分のメリットを追求して行動した結果、社会全体としてどのような現象が創発され、どのような影響があるのかを評価する必要がある。従来の社会科学・工学の分野では、このような巨視的な秩序と個人行動との関連性について評価することが難しかったが、コンピュータと AI 技術の発展により、ミクロレベルのシミュレーション、モデルの修正、パラメタの最適化を繰り返して、仮説、制度、社会インフラ等を評価し、改良することができるようになってきた。本講義では、これらの技術のうち、特に、文系の社会科学者も利用しているマルチエージェントシミュレーションと、パラメタの最適化技術である進化計算・群知能に注目して、社会システムのモデリング方法の基礎を学ぶ。

データサイエンス特論

データサイエンスは、「データを科学的に扱う」学問分野である。本講義では、様々なデータの収集、可視化、解析、マイニング、評価等の手法に関する知識とスキルを学ぶ。この際、統計学、コンピュータ科学、システム工学論、信号処理論などの観点から、データに対して仮説発見、仮説検証が行えるよう、客観的・定量的評価を行う資質を身に付ける。さらに、データサイエンスの実習を通じて、この体系を理解し、実践を学ぶ。大規模言語モデル(LLM)の活用についても触れる。

データサイエンス特別演習

データを分析し、分析から得られた結果や知見を活用する「データサイエンス」の実践能力を身に付けるためには、統計解析に関する知識だけでなく、1.現状把握に基づき課題を設定するための能力、2.分析を行うツールを使いこなしてデータ分析を推進するための能力、3.データ分析を通じて得られた内容を周囲に伝えるコミュニケーション能力など、さまざまな能力について学び、トレーニングをする必要がある。本授業では、現場の問題解決に役立てることにつながるデータの活用方法、データサイエンスについて、事例と演習を通して実践的な知識とスキルを修得する。

ヘルスケア・デザイン科目群

ヘルスケアデザイン特論

ヘルスケアデザインは、健康の維持や増進に関する行為や健康管理にデザイン思考を適用した学問分野である。一方、ヘルスケアデザインシンキングは、ウェルビーイングの向上を目的とし、クリエイティブな思考と解決策を提案するアプローチとして注目されており、多様な考え方を受け入れる柔軟性が特徴である。本科目では、デザイン思考の基本的な原則とその応用メソッドを学ぶ。さらに、医療分野でデザイン思考を活用している先進のデザイン事務所や企業、研究機関、教育機関が生み出す製品やプロトタイプ、そして研究を取り上げていく。

認知科学特論

認知科学は、人間の知識や認知を深く理解しようとする学際的な学問分野である。その特徴として、知的活動を心的表象の観点から分析することや、コンピュータを心のモデルとして扱うことなどが挙げられる。この分野では、脳の構造から高次認知機能や記憶のメカニズムを解明する研究だけでなく、感情、文化、社会といった側面から「心とは何か」や「子どもが心をどのように捉えるのか」といった核心的なテーマにも深く迫る。さらに、これらの研究成果を実生活に応用する動きも活発で、ユーザーインターフェイスのデザインや教育・医療福祉の環境設計など、利用者の利益を最大化する製品やサービスの開発にも取り組んでいる。これらの実用的なテーマに関する応用研究も、認知科学の重要な側面として取り上げていく。

人間情報学特論

人間情報学は、人と人、または人とモノの相互作用時に生じるインターフェースを中心に情報を理解し、そのプロセスの分析からシステムデザインまでを包括的に研究する学問分野である。現代の技術は、心拍数や血圧、体温を通じて自律神経の活動を計測することが可能になってきた。未来には、感情の変動もビッグデータとして収集されることが考えられ、人工臓器やナノロボットのような技術を体内に取り入れて、健康や病態をリアルタイムでモニタリングする時代が訪れると予想される。このようにして蓄積される巨大なデータベースは、新たな価値を生む財源となり得る。本科目では、これらの領域に焦点を当て、取り上げていく。

イノベーションデザイン特別演習

イノベーションデザイン特別演習1・2(必修)

PBL(Project Based Learning)を実施する。
PBL プロジェクトは 1 年を通して設計するが、単位は前期、後期に分けて成績をつける。イノベーションデザイン特別演習1は前期(1Q、2Q)、特別演習2は後期(3Q、4Q)に実施する。内容は、別途配布する「PBL プロジェクト説明書」を参照のこと。

産業技術研究科科目群

国際経営特論

本講義は受講者に、今日のアジア/アフリカにおける起業/ビジネス展開のために必要な知識、能力を付与するものである。特に、ライバルが少ないニッチ的なアジア/アフリカ諸国の事情を紹介し、受講者が有利な条件で起業する機会を付与する。起業/ビジネス展開に関する他の講義と比べると、本講義は次の明確な特徴がある。第1は、ビジネスを行う場が日本国内ではなく、アジア/アフリカを前提としている。第2は、起業のための具体的な手法として、特にファイナンス面に重点を置くことである。本講義では、特に開発ファイナンス(Developmental Finance)という手法について集中的に見ていく。

国際開発特論

この講義は、学習者が、今日の発展途上国の発展問題についての理解を深め、開発援助の手法についての実務的な能力を身に付け、さらには具体的な開発援助プロジェクトを企画立案できる能力を獲得することを目的とする。具体的には、学習者はこの授業を通じて以下の知識や能力を習得できる。

  1. 開発援助の基礎的概念と、新古典派経済成長理論に基づく通常の開発経済学上の基礎を理解する。
  2. 国際関係論等新たな視点に基づく開発援助の捉え方を理解し、具体的な開発援助プロジェクトに関する実務的な企画立案能力を獲得する。
  3. さらに、開発援助のファイナンス面についての実務的知識を獲得し、開発援助を開発ファイナンスという特殊な「カネの流れ」として理解し、ビジネス機会を捉える能力を獲得する。

グローバルコミュニケーション特論

本講義の目的は明確である。受講者に、国際場裡でこれから世界を相手に闘って、勝てるようになって欲しい。ビジネスでも、外交でも、政治でも、国際場裡で自国民が外国人に負けまくっている状態では国家の発展はない。そのため、国際場裡での闘いにおいて「勝てる」ようになるために必要な能力として、第1に、現下の国際情勢に関する鋭敏な理解力、第2に、今後の世界の動向を俯瞰する文明史的視座の理解力、第3にディベート能力、すなわち世界で外国のライバルを相手に議論で「勝つ」能力を付与する。

DESIGN[RE]THINKING

デザイン思考が「学生/従業員の誰もが創造力を発揮できるようになるお手軽な解決法」として過大に宣伝されてきた反動か、Jen によって、デザイン思考は批評 critique が欠如しているために bullshit であると批判されて以降、デザイン思考をポジティブに捉えるまともな言説はほとんど見なくなった。本科目では、簡易的なデザイン思考ワークショップだけではよいデザインを生み出す訓練には到底足りないが、デザイン思考の基礎は最低限習得しておくべきだという立場をとる。つまり、デザイン思考は時代遅れなのではなく、それだけでは用途の限定される平凡な道具であるが、この平凡な道具を使いこなせずにデザインをするのもまた難しいと解釈する。まずデザイン思考にとどまらないデザインの広がりを紹介し、文献レビューを通して議論を深める。続いて、デザイン思考に欠けているとされる「批評」のプロセスを本学の PBL 型特別演習科目の成果に対して適用する。最終的に、興味のある Project Team の前年度成果発表を批判的に評価したうえで、改善策を提案する。

産業技術特別講義1

すべての情報システムにおけるインターフェースは、問題を解決するため、または私たちの生活をより良く、より簡単に、より成功させるために設計されている。私達は身近にあるPC やスマートフォンなどの様々な端末を通して、その設計者の意図とデザインを毎日体験しており、ボタン、ジェスチャー、フォントの選択、配色など、すべて UI/UX デザイナーによって設計された実例を観察すると、そこには原理と原則があることがわかる。本講義では、UI と UX デザインを実例ベースで紹介し、原理原則を理解した上で、自身の制作に取り入れられるような実践的な講義を指向する。

選択必修科目群

技術倫理(選択必修)

ものづくりアーキテクトは間違いのない意思決定をする必要がある。このような意思決定の際、技術倫理に関係する問題について判断できるようになるためには、倫理問題についての理解を深める必要がある。特に、事前に起こりうる問題を想定して、予めその回答を用意するトレーニングを通じて技術倫理に関係する問題解決能力を取得することを目標として授業を設計している。受講者には討論への参加、演習課題についてレポートの提出、自ら探した事例についてのプレゼンテーションを求める。

情報技術者倫理(選択必修)

生成 AI やネット技術が高度化する中、この科目では、「何故、情報技術者に倫理観が必要なのか」といった問いかけから、情報技術者に関係する各種法令やガイドライン、ルール、マナー、エチケットが構成されてきたことを確認し、その重要性や社会的背景を考慮しながら、自らの業務にどのように適用させるべきかを考え、グループで検討する。また、この科目で検討していく内容は、システム開発者や情報化の推進者として様々なジレンマに直面することがあるが、これらの事象は、情報技術の発展が定着したビジネスルールと相反するものでもあり、どの様に解決すべきか、常に考えていく必要がある。講義の進め方は、1 週間の中で都合の良い時間に Web 教材による事前学習を行い、大学院での対面講義とグループ討議によって考えを深化させ、その成果を導く「ブレンディッド・ラーニング」とする。

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