研究

事業設計工学コースMaster Program of Business Systems Design Engineering

事業設計工学基礎科目群

事業設計工学概論
 この授業を受講することによって、本コースで学ぶ内容を体系的に俯瞰し、今後の学習の明確な動機付けを行う。事業設計工学コースが育成する事業イノベーターを理解するために、本学の専任教員やゲストスピーカーがそれぞれの専門分野の立場から、「事業イノベーター」について言及し、「事業イノベーター」の実像をうかびあがらせるようにする。この「事業イノベーター」の概念としては、情報技術やデザインエンジニアリングを活かして具体的に現状を理解し、また何をすべきか具体的な考え方を持つ高度専門職業人である。事業設計工学を俯瞰して今後の学習の動機づけとする。(オムニバス方式/全15回)
(2 板倉 宏昭/2回)
総論(及び新入生自己紹介)とマネジメントシステム
(9 松尾 徳朗/2回)
サービスサイエンスと市場創造技術
(11 吉田 敏/2回)
エマージング・イノベーションと技術経営戦略
(22 三好 祐輔/2回)
ファイナンス工学と数理計量ファイナンス
(23 廣瀬 雄大/2回)
エマージング・テクノロジーと事業方向性設計
(24 細田 貴明/2回)
ネットワーク事業設計とイノベーティブサービス技術
(21 田部井 賢一/1回)
イノベーションデザイン①
(19 佐々木一晋/1回)
イノベーションデザイン②
(30 未定/1回)
データベース・eラーニングとサービス工学
スタートアップ戦略特論
 起業あるいは新規事業を立ちあげ、成長を遂げていくためのスタートアップの活動を理解する。活動の流れを体系的に理解し、事業計画、資金調達、人材・知財等の資源管理、ブランディング等のマネジメントを学ぶ。講義は一般的な事業戦略や企業経営の用語について簡単に整理して理解したのち、起業経験のある外部講師を招待し、自らの体験や起業に関する体験を説明していただく。その後、それぞれの講演内容について講師や学生間で議論する。
会計・ファイナンス工学特論
 企業再編の増加や株主重視経営の定着などに伴い、財務知識の重要性が高まっている。本講義は、資金の投資先の決定・資金調達先の決定・配当政策の決定など、企業経営のうち資金に関係する分野を対象とする。具体的には、企業を経営するうえで、どのような資金調達が望ましいか、調達した資金を複数ある投資案件のどれに投下するのか、事業活動で得た利益を株主に、どの程度還元するべきかいう意思決定の問題を主に扱う。そして、企業の財務的意思決定に関する知識を習得し、ファイナンス工学の基礎的な考え方を現実の様々な場面で応用できることを目標とする。また、財務会計(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)と管理会計について基本的な仕組みを解説し、自己の組織について、会計的に理解できるようにする。
エマージング・イノベーション特論
 イノベーションとは、既存の慣行軌道を刷新することにより新たな価値を創り出し、それを広く社会に浸透させる現象とされている。この講義では、有形、無形の製品(サービス、ソリューション、情報など)が創られていくプロセスを深く検討していきながら、最終的に使い手側がどの様な結果を導き出すのかを注視することで、既成の製品やプロセスだけを拠り所にするのではなく、これからイノベーションが起こる確度を向上させる設計知見を修得するものである。
サービスサイエンス特論
 (1)サービス享受者の行動を分析し、(2)価値と市場を創造し、(3)実際にサービスを提供するための実現手法を開発することが重要となる。サービス提供者が満足するのではなく、顧客が満足する姿を目標としたサービスや市場がのぞまれる。そこで、本講義においては、損失回避の法則、価値基準の法則、コミットメントの法則、評価バイアスの法則など、合理的ではない人間の行動から発生するビジネスの失敗や消費者の集客手法について論じる。さらに、顧客ロイヤルティを高めるためのインセンティブデザインについて概説し、顧客リテンション性能の高いサービス商品設計について議論する。また、サービス需要者のパーセプション分析に焦点を当て、サービスマーケティング手法の基本的理論と事例について議論する。さらに、近年注目を集めているサービスと消費者行動、サービスサイエンス、サービスエコノミクス、サービスマーケティング、サービスエンジニアリングについて扱う。また、サービスドミナントロジックに基づく顧客価値共創によるマーケティング手法を紹介する。具体的な市場として、旅行業界やカジノ業界に関わる現状を紹介する。

ビジネスシステム科目群

マネジメントシステム基礎特論
 事業設計に必要と考える考え方を解説し、基本的理解に重点をおく。経営に関する基本概念のうち、市場と経営、組織と経営を巡る基本的な考え方を中心にまとめる。デザイン志向など新しい動向についても概観する。米国のMBAなどの伝統的な考え方と対比しながら展開していく。
マネジメントシステム応用特論
 事業設計を学ぶ上で、必要な考え方を復習したのちに、国際経営、地域ビジネス、イノベーション、デジタル化に関する概念を解説する。大企業ばかりでなく、中小企業や国内外の地域企業も扱う。事例を取り入れながら客観的に解説し、事例研究、問題演習を行って体系的に理解できるようにする。
統計・数理計量ファイナンス特別演習
 事業設計においては様々な統計データを通じて意思決定することが多い。本講義では、データを適切に要約し、役立つ情報を引き出し、分析するために、基礎的な理論を習得し、適切な意思決定を行うことを目的としている。数理統計学の概念を基礎とし、ファイナンスに代表される経済理論の正当性について検証する計量分析の方法を習得し、仮説の正しさを吟味する。具体的には、現実の統計データを用いて仮説の正当性について検証する方法を学ぶ。そして、経済の仕組みを分析するため、経済モデルに含まれる未知の係数をどのように推定するか、またその推定結果をどのように解釈すればよいかについて学ぶ。統計パッケージを用いて、実践的な分析を進めていく。
地域経済分析特別演習
 都市の抱える問題は地域の経済問題から切り離して考えることはできない。本講義では、都市及び地域の経済問題や政策を考える上で役立つ経済学の考え方を学び、経済モデルを使いながら地域の抱える諸問題を考察する。具体的には、他の人と比べて全ての面で能力が劣っていても、分業で成り立つビジネスの上では仕事に貢献できるという「比較優位」という経済学の考え方を学び、どのように現実社会に応用できるか、その解決策や他の事例研究への応用ができることを目的とする。
リーダーシップ特論
 毎回の授業は、講義と実習(拡張版ケーススタディ)の構成を取る。近年特に高度成長期以降、日本の産業界では協調性とともにリーダーシップの重要性が説かれ、特にその基本要素として積極性(アグレッシブ)がもてはやされてきた。一方、欧米では、15年ほど前から、アサーティブの重要性が注目され、リーダーシップ力に重要な要素とされている。これは、決して新しい発見ではなく、第二次世界大戦当時から、特に米国海軍でフォロワーシップ力として教育が徹底されてきている。この教本は、日本でも防衛大学校で日本の国防の幹部候補生らの教育に利用されている。本講義では、リーダーシップの基本に立ち返り、フォロワーシップに基づく社会的実用性の高いリーダーシップ力の獲得を目指す。

事業設計イノベーション科目群

製品開発組織特論
 これまでの国内組織の製品開発は、既成製品を上回る仕様や品質だけを主な目的にしたり、ハイエンドという側面だけを狙ったものが散見されたことは否定できない面がある。
ここでは、有形の製品を創る組織を中心に、サービスや情報を創る組織なども含め、製品を創るために必要な組織的能力や、その構築のために必要な要素を解説していく。このことにより、自分が属する組織の特性を理解し、与えられた状況に応じた最適な判断や方向性を示す資質を養うことが出来るものである。
技術経営戦略特論
 昨今、PCなどの演算処理技術、インターネットなどの通信技術に代表される基盤的技術が、飛躍的に発展している。そのような中で、これらの変化の影響を受け、これから継続的に変わっていく様々な状況に対し、どのように対応していくのかという点について、複数の視点から総合的に知見を身に着け、推進する事業の見直しや、新しい事業の考え方の創出に寄与することが必要である。
本講義は、技術経営領域やMOTの内容を活用しながら、このような知見の修得を目指すものである。
エマージング・テクノロジー特論
 現在、AI、IoT、ロボット化など、技術的変化による、社会レベルに大きな影響を与える可能性が様々な局面で示唆されている。しかし、このような先端性の高い技術については、統合的な認知手法や、俯瞰的な情報が整理されていないため、次の世代の急進的な技術変化を理解することは難しいといえる。
本講義では、これまでの基盤的技術や応用技術の変化を理解しながら、これから注視すべき新しい技術や、技術の変化についての知見を身に着けていくものである。
事業方向性設計特論
 これから先、技術の変化は、創り出される製品やサービスに大きな影響を及ぼすことが変化だけでなく、社会の変化や、市場の変化と相互に関係しながら、複雑性の高い状況を理解していかないと、必要と考えられる対処や考え方を導き出すのは困難であると考えられる。
本講義は、このような様々な影響を理解しながら、これから先の事業の設計を実際に行っていくことができるために、技術ロードマップなどの手法を理解し、必要な知見を身に着けていくものである。
事業方向性設計演習
 未来の発展の可能性について、どのように確度を上げて把握するかについては、「事業方向性設計特論」で理論面の理解を進める。
本演習では、把握された理解に基づき、実際のロードマップなどの手法の演習を行う。このことによって、実際の社会活動の場でも、実践的な理論の活用が実現できるものとなる。

サービスイノベーション科目群

ネットワーク事業設計特論
 計算機やインターネットを用いた企業活動や経済活動は、ビジネスの利便性のみならずサービス提供の効率性を格段に飛躍させた。本科目では、ネットワークビジネスに関連する事例について、各種経営理論に基づく成功要因分析と事業戦略の特徴づけについて議論する。またネットワークビジネスを設計する課題を与える。特に、オンラインサービスを提供する業界におけるサービスのモデル、企業内情報システムに関する事例とその効果、および物流、観光、医療・福祉などの成長分野でのITやインターネットの活用事例および将来の可能性について議論する。
意思決定サイエンス特論
 ビジネスにおける意思決定は、経営者が行う経営上の意思決定と現場が行う実務上の意思決定が存在し、この2つが成功することがビジネスの成功において不可欠である。本科目では、これらの意思決定に関する理論と実務上の手法について論じる。具体的に、実務上および経営上の意思決定の成功例や失敗例を議論するとともに、ケーススタディによる模擬的意思決定と意思決定によるビジネスシナリオの分析と評価を行う。
イノベーティブサービス技術特論
 モバイル端末の進化や人工知能技術の発展に伴い、金融サービスや関連産業の著しい成長が認められる。また、それにより国を超えた決済行為や経済活動のさらなる活発化が期待されている。また仮想通貨にとどまらずビジネスデータの効率的かつ頑健な管理概念であるブロックチェーンを基盤としたビジネスイノベーションが期待されている。本科目では、フィンテックの基本的技術を理解することに加え、具体的な事例について紹介する。さらに、市場のプレイヤーにとって利便性を増加させることができる新サービスについて、ベンチャー企業観点で創造する手法について議論する。さらにサプライチェーンや電子政府、医療・福祉、観光など、様々な分野におけるブロックチェーン技術の適用について議論し、近未来のサービス・ビジネスイノベーションにおける分散型データ管理と共有技術、ならびにその課題について議論する。さらに、ベンチャービジネスへの導入手法についても取り扱う。
市場創造技術特論
 ベンチャー企業にとって、バリューイノベーションは既存にない市場を創造することができ、大きな独占的収益を得られる可能性がある。本科目では、ブルーオーシャン戦略を用いた新サービス開発の実行プロセスについて議論する。さらに、市場レベル、製品レベル、マクロ環境レベルでの分析を通したプロダクトコンセプトの立案を行い、戦略キャンバス、効用マップ、アクションマトリックスなどの具体的な評価ツールを用いたサービス商品開発手法を体得する。
事業継続戦略特論
 組織が永続的にビジネスを継続させることができるよう望ましい戦略を持つことが注目されている。本講義の前半においては、サービスプロフィットチェーンに基づくサービスの品質の維持と提供者のモチベーションの維持に関して議論する。また、市場や組織がうまく働いているかを評価するダイナミクスモデルに基づくシミュレーション技法について解説する。後半では、不測の事態が発生した際に、組織が持つ情報や周りの環境の情報をいち早く収集し、それに基づいた事業再開の戦略を立案し、ビジネスを継続させることができる方法論として注目を集めている事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)について議論する。

事業設計工学特別演習

事業設計工学特別演習1
 1年次では、知識とスキルを修得するが、これだけでは事業設計型の高度専門職人材(事業イノベーター)として活躍することはできない。実際の業務を成功に導くためには、経験及び業務遂行能力(コンピテンシー)が不可欠である。当科目では、事業アーキテクト養成の最終段階として、成長領域の現状から問題を特定し、現実の課題に対する問題解決・事業開発のプロジェクトを実行する。実際の業務に近いプロジェクトを体験することで、知識・スキルの活用経験を蓄積し、さらにコンピテンシーを修得するためにPBL(Project Based Learning)型の演習授業を行う。
事業設計工学特別演習2
 1年次では、知識とスキルを修得するが、これだけでは事業設計型の高度専門職人材(事業イノベーター)として活躍することはできない。実際の業務を成功に導くためには、経験及び業務遂行能力(コンピテンシー)が不可欠である。当科目では、事業イノベーター段階として、成長領域の現状から問題を特定し、現実の課題に対する問題解決・事業開発のプロジェクトを実行する。実際の業務に近いプロジェクトを体験することで、知識・スキルの活用経験を蓄積し、さらにコンピテンシーを修得するためにPBL(Project Based Learning)型の演習授業を行う。前期のPBL活動での知識・スキル・経験を活かし、次の段階への改善・発展を行う。

産業技術研究科科目群

国際経営特論
 現在、アジア/アフリカ諸国を含む世界の大半の諸国は猛烈な勢いで経済成長を進めている。2015年12月31日にはAEC(ASEAN経済共同体)がスタートした。20世紀中は「落ちこぼれ」と呼ばれたサハラ以南のアフリカでも順調な経済成長が続いている(ここ四半世紀で⼀人当たりGNIを低下させた「器用な」国は、日本等ごくごく⼀部である。)。21世紀とは、世界全体が急成長する時代なのである。一方、社会科学の多くを含め、既存の人々の見方は、この「世界全体が急成長する」という人類史上稀有な事態に追いついていない。
本講義は、学習者が、このような歴史的な事態に対応し、最先端の社会科学及び金融実務を学び、世界で自らの「天職」を適切に果たすことができるための知見を獲得するとともに、演習により、実際に世界でのビジネス実施能力を獲得することを企図する。すなわち本講義は、「文明史の動きに対する挑戦」である。
国際開発特論 
 開発援助(経済協力、国際開発)を通じた発展途上国の発展への貢献を行うための実務能力の習得を、講義と演習の組み合わせによって実施する。講義では、開発援助の基礎概念、新古典派経済成長論等通常の開発経済学の内容に加え、開発主義、東西冷戦の影響等国際関係論の視点等多岐にわたる内容を学ぶ。演習では、それらの知識を元に、発展途上国における開発援助案件を考案し、そのプロジェクトの企画案を策定、発表し、指導を受ける。なお、開発援助案件の企画は、ビジネス案件の企画の基礎的訓練となるため、発展途上国における起業のために必要な知見も習得する。
Technical Writing in English
 (英文)Nowadays, English is ubiquitous, especially as our modern society heavily relies upon technology. As a manager, engineer or technician, it is thus a great asset for each of us to be able to use English in our everyday duties.This lecture aims at providing students with the required skills to become proficient at technical writing in English. Concretely, students will be given the opportunity to learn and practice how to produce high-grade professional and technical English documents.This lecture will mainly address the following three topics:
1.Language (grammar, vocabulary, etc.) of English technical and professional writing.
2.Methodology of English technical writing (document structure).
3.Typography (punctuation, style) to be employed inside such documents.
(和訳)今日、とりわけ現代社会が技術に大きく依存している現代社会において、英語は至る所に存在する。日常の雑務において英語を使えることは、管理者や技術者あるいは専門家にとってそれぞれの大きな強みとなる。この講義は、英語による技術文書作成が上達するようになるために必要なスキルを学生が得ることを目的とする。
具体的には、高度に専門的で技術的な英語の文書の作成方法を学んで練習する機会が学生に与えられる。
この講義では、主に次の3つのテーマに取り組む。
1.技術的で専門的な文書における英語の言語(文法、単語等)
2.英語の技術文書作成の方法論(文書構造)
3.そのような文書において用いられるタイポグラフィー(句読点、文体)
DESIGN[RE]THINKING
 (英文)In recent years Design Thinking has gained legitimacy and popularity as a method to develop design and business processes. Design Thinking is based on few simple principles, such as learning by doing, learning by failing, collaborative thinking and solution-oriented approaches. Although in many cases Design Thinking has proved itself valuable, the design community has also raised doubts and objections to its unconditioned employment. This course investigates Design Thinking, but it also leaves space to critically reconsider and improve its principles.
(和訳)近年、デザイン思考はデザインや業務プロセスを発展させる手法として、正当性を得、また普及してきている。デザイン思考は、体験学習、失敗体験による学び、共同思考、解決思考型手法のようなわずかで単純な原則に基づいている。
デザイン思考は多くの場合において役に立つものと証明されてきたが、デザイン界はその無条件の使用に対して疑いや異議も起こしてきた。この科目はデザイン思考を研究するが、その原則を批判的に再考して改善する余地もある。

選択必修科目群

情報技術者倫理
 情報技術は、経済成長と共に、高度化、複雑化、多様化を加速しており、同時に情報技術にまつわる事故が多発しはじめ、ひいては人命にかかわる惨事も発生している。これらの背景を情報技術者の倫理的側面から見ると、未然に防げたケースが多く見受けられる。そこで「何故、情報技術者に倫理観が必要なのか?」といった問いかけから、情報技術者に関係する各種法令やガイドライン、ルール、マナー、エチケットとされてきたことを確認し、その重要性や社会的背景を考慮しながら、自らの業務にどのように検討させるべきかということを検討する。
技術倫理
 高度な専門職業人として意思決定の際、技術倫理に関係する問題について判断できるようになるためには、倫理問題についての理解を深める必要がある。特に、事前に起こりうる問題を想定して、あらかじめその回答を用意するトレーニングを通じて技術倫理に関係する問題解決能力を取得することを目標として授業を設計している。受講者には討論への参加と、演習課題についてレポートを提出することを求める。