多様な人と一緒に学び 転職・起業のハードルが下がる
事業設計工学コース
大塚 武さん
2022年修了
株式会社ベネッセコーポレーション所属
北海道大学 出身
定年退職後の選択肢に社会的事業を加える
会社勤めを終えた後の選択肢として、起業して社会的事業に取り組みたいと考えています。AIITで学んだのも将来の起業を想定し、IT部門でキャリアを積んだ私に欠けている、経営やファイナンスを学ぶことが目的でした。ただ、最初から強くそう思っていたわけではなく、実際には、半年間の「AIITシニアスタートアッププログラム(現・東京 テックイノベーションプログラム)」を受講したことをきっかけとなりました。そこで経験したPBLが非常に面白く、さらに学びを深めたいという思いが、修士課程への進学を強く後押しすることになりました。
PBLで経験した新規事業の立ち上げ
そうした経緯があって取り組んだPBL のテーマは、東京都檜原村の活性化。檜原村は9割以上が森林。人が住める平地は道路沿いにしかなく、鉄道もありません。自然は豊かだが高齢化と過疎化が著しく、消滅の危機さえあるこの村で、新しい事業を興すことが私たちの課題でした。
新事業の立案には、1年次に学んだ知識を投入します。実務に即し体系的に身に付けた知識は活かしどころが明らかになっていて、例えば会社員として見たことはあったという程度の財務・会計のデータについて、並んだ数字から事業の実現性や価値を評価できるまでになっていました。
さらに重要なことは、起業のビジョンを明確化したこと。実務経験と学び直しによって専門性を培った人が緩やかにつながり、社会的課題や地域貢献のテーマに応じてそれぞれの能力を発揮できる仕組みを作り、ゆくゆくは事業化する。その枠組みとプロセスをPBLで経験した私は、自分が理想とする起業のあり方を改めて認識することができました。
周囲から刺激を受けて在学中に転職
バックグラウンドが異なる多様な人との出会いも、AIITで得た財産です。かつて勤務していた電機メーカーは海外にも事業展開するグローバル企業。そこでの業務では、多様性を意識してきたつもりでした。しかしAIITでの出会いは、私が捉えていた多様性が業界内に限定されていたことを分からせてくれました。AIITの1年次に現職に転職したのも、製品ではなくサービスを提供する仕事を経験し、ビジネスの多様性を実感したくなったためです。
AIITでの学びや出会いによって、転職や起業へのハードルを下げることができました。失敗しないための準備だけを考えていたのは過去のこと。新規の事業は、小さな失敗を重ねる中で成功に必要な要素を学び取ることが、実現に至る最良・最短の道であることをAIITで学びました。今は専門性のさらなる高度化に、アカデミックな側面からアプローチしています。そして納得がいく学びを経てから、起業に向けたロードマップを具体化したいと考えています。