新事業につながるデータ活用を修得
北村 嘉崇さん
創造技術コース
2020年修了
株式会社HuBeauuu代表取締役
東京大学大学院 出身
学びたかったのはデータサイエンスの考え方
入学した当時は医療機器メーカーにいて、医療機関に向けた新規事業を考えていました。AIITで学びたかったのはデータサイエンス。レセプトデータを活用した新サービスを考案するためです。ところが在学中に縁あって美容室の運営会社で取締役に就くことになり、働く環境が一変しました。
とはいえデータを重視し事業に生かすのは、仕事に対する私の基本的な考え方。当初データサイエンスに着目したのも、そのスペシャリストになりたかったのではなく、データサイエンスの根底にある考え方や、AIなど最新テクノロジーの基本原理を理解してビジネス活用の選択肢に加え、事業展開の引き出しを増やすことが目的でした。
医療業界から美容業界に立ち位置が移っても、私の学ぶ目的や視点が変わることはありませんでした。
データに基づきサービスを科学
美容業界を前提としてからデータ活用の対象は、美容室で提供するサービスの品質向上に変わりました。目的は、入店から退店までの顧客満足度を高め、リピーターや美容師の指名を増やすこと。そこで指針となったのが、AIITが開講する「サービスを科学する」授業でした。
美容室の日常業務から収集できるデータは、アンケート調査による定性データが中心。どのような質問項目を立て何を聞けば、サービスに対する評価を網羅できるか。これを検討するにあたり、「サービスの科学」で学んだフレームワークを応用しました。
これまでの実務でもフレームワークは扱ってきました。しかし、それはあくまでも目の前の課題を解決するため。AIITでは多様なフレームワークについて、基本思考や具体的な事例を学べたため応用が利くのです。
目標の達成上にその過程を重視する
PBLでも、サービスの品質評価に取り組みました。もちろん、美容室におけるサービス向上がテーマです。私の場合、実証実験ができる店舗があったため、仮説に基づく新たなサービスを提供する前後で顧客調査を実施し、その効果を検証することができました。大学院の授業としてその一連を経験できたことで、美容業界のサービス向上に資するデータ活用の一つの手法を確立できたと考えています。
そして転職に次いで起業した私は、現在美容業界を対象としたコンサルティング会社を経営しています。今重視しているのは、美容室のサービス向上に加え、サービスを提供するスタイリストやスタッフの満足度を高めること。従業員に対しては、目標の達成以上に、共有する目標に向けて協働する過程を重視する支援を行っています。それは、私がPBLで実感した満足そのものなのです。