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高専で修得した技術を社会に実装するための学び

香田

香田 健一朗さん
創造技術コース
2022年修了
株式会社 日産オートモーティブテクノロジー所属
東京都立産業技術高等専門学校専攻科 出身

0から1を生み出す技術を学ぶために

高等専門学校(高専)は本科で5年、専攻科で2年学び、ものづくりの技術は機械、電気とも一通り身につけました。授業に加えロボコンにも参加していたので、手を動かしてモノを作り上げる経験も十分に積みました。
ただ、私にとってそれらは“1を10にする技術”。機械や電子機器の構造や仕組みを理解し、それを組み上げたり修理したりする技術を持っていても、どのような発想で設計されて生産工程が組まれ、なぜ市場に受け入れられたかは分かりません。ものづくりにおける最上流の領域、つまり“0から1を生み出す技術”を獲得してこそ、高専で修得した技術を実社会で発揮できるのではないかと考えたことが、大学院に進学した理由。進学先としては実務に即し、かつ多様な技術を横断的に学べるAIITだけを目指しました。

自分が持つ技術が社会の課題につながる

AIITで新たに学んだことを一言で表すなら、市場で価値を生むものづくりとは何かという観点と、それを考える習慣を身につけたことにあります。
技術者はとかく、技術それ自体の高度化や新規性の追求に力を注いでしまいます。私にもその傾向がありましたが、AIITでは設計や品質管理に関する科目をはじめ、あらゆる授業で世の中のニーズや使いやすさについて考えます。製品の品質や価値を定量的に評価し競合する製品と比較検討する手法を学んだことは、高専で修得した工学的な知識や技術の可能性を広めてくれたように思います。
例えば、環境問題へのアプローチもその一つです。環境の課題を視野に入れたものづくりは、循環経済(CE)をテーマにしたPBLで初めて取り組んだこと。自らの技術が社会的な課題の解決につながることを実感できた経験になりました。
こうした2年間の学びで、ものづくりの最上流から社会に実装するまでを視野に収め、自分が持つ技術の位置づけや価値も理解できました。

就職して実感した 異分野・異世代と学んだ価値

視野を広めたという点では、社会人と学べた点も重要でした。AIITで新しい知識や技術を学び取ろうとしている点は、社会人学生も私と変わらないはず。しかし知識を吸収する力や多様な意見をまとめる力、授業中の質問力などが別次元に感じられ、入学当初は経験知の差に気後れさせられました。
周囲に圧倒されながら学んでいた私も、2年次にPBLでは自分の技術を生かした貢献ができたと思いますが、修了まで社会人学生に追いつけた感触は得られませんでした。異分野・異世代の人と学んだことの価値を自覚できたのは、就職してから。大学や大学院を出た同期と働く中で、AIITでの2年で自分が成長したことを実感しました。

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