中山泰男理事長 挨拶
東京都公立大学法人理事長として、法人を代表して一言ご挨拶申し上げます。
皆様、本日はご入学おめでとうございます。ご家族の皆様にも心からお祝い申し上げます。教職員一同、皆様を歓迎します。
世界は今、激動の時代を迎えています。ウクライナ戦争や昨今の中東の緊迫化した状況など次々と想定外のことが起こっています。戦後の国際秩序も大きく変容しています。これに伴い、国際的な経済・安全保障環境の不確実性が急速に高まっています。また、国内においても少子高齢化や物価高騰、資源・エネルギー政策、日進月歩ならぬ秒針分歩で進んでいるAIへの対応など多様な課題があります。しかし一方で、日本経済の現状はどうかと言うと、長いデフレを脱し、停滞から成長への転換点を迎えています。
したがって、日本はこの機を逸することなく成長を遂げていかなければなりません。その牽引力は首都東京です。日本の首都である東京には集積の力と多様性という大きな強みがあり、これまで東京は、この強みを生かして数多くの日本経済の課題を解決してきています。その結果として、東京は「世界の都市総合力ランキング2025」において、ロンドンに次いで初めて2位となりました。こうした強みを持つ東京の力を、地方にも波及させ日本経済を成長させることが重要です。
ここ東京都立産業技術大学院大学は、独自のPBL型教育などにより、課題を達成する過程で真に役立つ実践的なスキル及びコンピテンシーを身に着けることができます。このPBLの取組は素晴らしく、皆さんのこれまで培ってきたスキルを一段と高めることができるでしょう。また、本学では、経済同友会の代表幹事でもある日本IBMの山口社長ら、企業の経営者達で構成される運営諮問会議を開催しており、ここでの議論を通じて、産業界からの要請を常に把握し、皆さんへの教育内容に反映させていきます。
本学の修了生は、企業に戻り活躍される方、新たな企業で実力を発揮される方も数多く、皆さんは、高度専門職人材として更に成長し、社会で活躍することが産業界から期待されています。その期待に応えるべく、私自身も、これまで培ってきた人的ネットワークを最大限活用し、産業界や金融界の課題やニーズをいち早く捉え、皆さんに対して変化する実社会を踏まえた学びの環境を整備していきます。
さて、皆さんが日本、ひいては世界で活躍していくために重要な力とは何でしょうか。私は、2つの力が重要であると考えています。1つ目は、主体的に考え行動する力です。明確な目的意識を持ち本学に入学されている皆さんには、既にこの力が備わっていると思いますが、視野を世界的な課題解決に拡げ、本学でこの力をさらに磨いてください。2つ目はコミュニケーション能力です。「人」との交流無くして、社会は成り立ちません。本学は、学生、教員ともに様々な年齢、バックグラウンドを有する方が多く、この多様な仲間とともに学ぶ環境が整っています。仲間や教員と大いに語らい、議論をしてください。中国の思想家孔子は、学びて思わざれば即ちくらし、思いて学ばざれば即ちあやうし、つまり、自ら考えることと、学ぶことの両立が重要であると説いています。皆さんも謙虚な姿勢で学びを続けてください。
そして、この2つの力を身に付けた皆さんが交流することでイノベーションが生まれます。イノベーションは新たな価値やものごとを創造するものであり、現代社会の発展につながるものです。私は、本学で一段とレベルアップした皆さんがイノベーションを生み出し、東京、日本における産業・社会の国際競争力を高め、そして世界的課題を解決する役割を果たしていくことを期待しています。
最後に、本学で過ごす時間は、何にも代えがたいものになると思います。皆さんが、一瞬一瞬を大切にして、充実した時間を過ごされることを祈念いたしまして、お祝いの言葉といたします。
本日は本当におめでとうございます。
2026年4月4日
東京都公立大学法人理事長 中山泰男