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第150回コラム 「AI UXデザイン研究所の設立1周年」

2025年4月9日

五十嵐 俊治 助教

2024年4月に設立された「AI UXデザイン研究所」は、無事に今月で1周年を迎えることができました。初年度は幸運にも色々と成果を出すことができた一方で、広報活動にあまり力をいれることができなかったため、本稿にてこれまでの歩みを振り返り、今後の展望について述べさせて頂こうと思います。

日本の大学で「AI」と「UXデザイン」を冠した研究所は極めて稀であると認識しており、産業に活かすことのできる研究開発を推進する本学ならでは研究所とも言えます。昨今のAI技術は、社会・文化・経済に多大なインパクトを及ぼしながら、人々の「インフラ」として浸透しはじめています。AI技術の導入によって、アプリやサービスの開発コストは低減し、個人〜複数人のチームレベルでも高度なシステムを構築できるようになりました。実際に、私が参加した大人も参加する全年齢対象のコンテストで小学生の受賞者が現れたこともあります。

一方で、単に必要要件を満たしたアプリやサービスを作っただけで、ユーザーに選ばれ、アクセスが増える保証はなく、AIが前提となる時代のUX(ユーザーエクスペリエンス)を深く考えたプロダクト開発と体験設計が求められているといえます。

これまでに、私たちは多くの研究開発を重ね、病院や高齢者施設での対話ベースでの疾患検知、トラベルテックでのエージェント活用、企業内人材の暗黙知の可視化、エネルギー領域における画像認識システムによるスイッチング効率化、グルメプラットフォームにおけるレコメンデーション精度向上のためのUX設計など実際の生活やビジネスの現場に即した課題発見とソリューション提案を行ってきました。国際ジャーナルへの論文掲載や国内外の学会発表を通じて、研究成果を発信しておりますが、単なる理論研究にとどまらず、実装可能なプロトタイプの開発と実証実験を通じて、研究成果の社会実装を目指しています。特に対話型AIエージェントに関する研究は、多くの反響を呼び、現在も複数の応用研究へと展開しています。

コラム

そのような中で、現在、当研究所では新たな連携先として、企業や自治体、教育機関などとともに未来のユーザー体験を共創するパートナーを募集しています。共同研究はもちろん、インターンや研究指導を通じた若手人材の育成にも積極的に取り組んでおります。AIとUXデザインの融合に関心を持ち、現実社会への応用に挑戦したい方々と、ぜひ一緒に新たな価値を創り出していければと考えております。

「そもそもUXという言葉を聞いたことがない」、「業務システムすら入っていないのにいきなりAIはハードルが高い」、「ウチは古い業界だから…」そういった現場や企業様こそ寧ろアップデートの可能性に溢れており、私達好みのパートナーになります。

大学の研究機関でAIとUXに関して、調査分析だけでなく、ワークショップ、共創、プロトタイプの開発まで一緒に行うことのできる所はほぼなく、東京都のシンクタンクとしての機能を求められる本学だからこそという側面もあります。

また、今年はAIとUXデザインに関する書籍出版も控えており、世界で戦えるような成果を出していく所存です。この1年を通じて得た知見と経験を礎に、私たちはさらに挑戦的な研究と社会貢献を行ってまいりますので、もしご関心のある企業や自治体、教育機関様がいらっしゃれば、是非、下記のメールアドレスまでご連絡ください。

引き続きご支援・ご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

AI UXデザイン研究所 お問合せ先:peilu-x@aiit.ac.jp

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