MENU

MENU

AIITコラム

IoT開発に必要なスキルは?学ぶ方法や開発事例を紹介

「IoT開発って、Web開発とどう違うの?」
「開発の手順や、求められる知識について知りたい」

IoT開発には、ソフトウェアとハードウェアの両方を理解し、それらを統合するスキルが必要です。一見難しそうに思えますが、体系的に学べば確実にスキルを身につけられます。

この記事では、以下の内容について解説します。

  • IoT開発の基本的な手順と開発手法
  • 実際のIoT開発事例と活用シーン
  • IoT開発に必要なスキルと知識

この記事を読むことで、IoT開発の全体像が明確になり、具体的な学習の道筋が見えてきます。自分に必要なスキルと、それを身につける方法が分かるでしょう。

なお、東京都立産業技術大学院大学(AIIT)の情報アーキテクチャコースでは、IoT開発に必要なソフトウェアとハードウェアの技術を、試作基盤を使って実際にセンサーを動作させながら体系的に学べます。働きながら通える平日夜間や土曜日の授業で、実践的なスキル修得を目指せます。教育内容やカリキュラムの詳細は、以下のサイトで最新の情報をご確認ください。

>>東京都立産業技術大学院大学の情報アーキテクチャコースを確認する

IoTとは

IoTは「Internet of Things」の略で、日本語では「モノのインターネット」と呼ばれています。身の回りのさまざまな機器がインターネットに接続され、情報のやり取りや遠隔操作を実現する技術です。

従来は、パソコンやスマートフォンだけがインターネットに接続されていました。しかし現在では、家電製品、自動車、医療機器など、あらゆるモノがネットワークでつながっています。

IoTの仕組みは、センサーでデータを取得し、ネットワーク経由でサーバーに送信、収集したデータを分析・活用するという流れで成り立っています。例えば、室温をセンサーで測定し、そのデータをクラウドに送信することで、スマートフォンのアプリで確認したり、自動でエアコンを制御したりできます。

IoTの活用範囲は広がり続けており、例えば工場の生産管理、農業の効率化、医療現場での患者モニタリングなど、生活やビジネスのあらゆる場面で使われています。身近なところでは、スマートスピーカーや見守りカメラなども、IoTの一部です。

今後もIoT市場は拡大が見込まれており、関連するスキルを持つエンジニアの需要も高まっています。

IoT開発とは

IoT開発は、センサーやデバイスなどのハードウェアと、データを処理・制御するソフトウェアを組み合わせて、インターネットに接続されたシステムを構築することです。Web開発やアプリ開発とは異なり、物理的なデバイスとソフトウェアの両方を扱う点が特徴といえます。

IoT開発では、センサーからのデータ取得、ネットワークを介したデータ送信、クラウドでのデータ処理、ユーザーインターフェースの提供といった複数の要素を統合する必要があります。そのため、ハードウェアの知識、プログラミングスキル、ネットワークの理解、セキュリティ対策など、幅広い技術領域をカバーしなければなりません。

IoT開発のプロジェクトは、規模や要件によって適した開発手法が異なります。代表的な開発手法として、アジャイル開発とウォーターフォール開発があります。

アジャイル開発

アジャイル開発は、短い期間で開発とテストを繰り返しながら、段階的にシステムを完成させていく手法です。柔軟性が高く、仕様変更に対応しやすいのが特徴といえます。

IoT開発においてアジャイル開発を採用すると、まず最小限の機能を持つプロトタイプを作成します。その後、動作を確認しながら機能を追加していくため、早い段階で実際に動くモノを確認できます。

アジャイル開発のメリットは、市場や技術の変化に素早く対応できる点です。IoT分野は新しい技術やデバイスが次々と登場するため、柔軟な開発手法が適しています。また、実際にデバイスを動かしながら開発を進められるため、ハードウェアとソフトウェアの統合における問題を早期に発見できます。

ただし、アジャイル開発では当初の計画が変わりやすいため、プロジェクト全体のコストや納期の管理が難しくなる場合があります。チーム内でのコミュニケーションが重要になり、メンバー間の連携がプロジェクトの成否を左右します。

ウォーターフォール開発

ウォーターフォール開発は、要件定義、設計、開発、テスト、運用という工程を、上流から下流へ順番に進めていく手法です。各工程が完了してから次の工程に進むため、計画的に開発を進められます。

IoT開発でウォーターフォール開発を採用する場合、プロジェクトの開始時にすべての要件を明確にし、詳細な設計書を作成してから開発に着手します。工程ごとに成果物と品質基準が明確なため、進捗管理がしやすくなる点が特徴です。

ウォーターフォール開発のメリットは、プロジェクト全体の見通しが立てやすく、コストや納期の管理がしやすい点です。大規模なIoTシステムや、医療機器のように高い信頼性が求められる分野では、厳格な品質管理ができるウォーターフォール開発が選ばれることがあります。

一方で、開発途中での仕様変更が難しく、柔軟性に欠ける面があります。最初に決めた仕様に問題があっても、後戻りするとコストが大きくなるため、要件定義の段階で十分な検討が必要です。

IoT開発では、プロジェクトの規模や性質に応じて、これらの開発手法を使い分けたり、両方の良い点を組み合わせたりすることもあります。

IoT開発の手順

IoT開発は、計画から運用まで複数の工程を経て進められます。各工程での作業内容を理解することで、プロジェクト全体の流れが見えてきます。

要件定義

要件定義は、IoTシステムで何を実現したいのか、どのような機能が必要なのかを明確にする工程です。プロジェクトの目的や課題を整理し、システムに求められる要件をまとめます。

まず、IoTシステムを導入する目的を明確にします。例えば、工場の設備監視を自動化したい、店舗の温湿度を管理したい、といった具体的な目標を設定します。次に、必要な機能をリストアップします。どんなセンサーが必要か、どのようなデータを取得するか、データをどう活用するかなどを検討します。

要件定義では、技術的な実現可能性も考慮しなければなりません。予算や開発期間、既存システムとの連携など、さまざまな制約条件を踏まえて要件を調整します。

要件定義が不十分だと、後の工程で大きな手戻りが発生する可能性があります。関係者間で認識を共有し、合意を得ることが大切です。

設計

設計は、要件定義で決めた内容を実現するための具体的な方法を決める工程です。システム全体の構成から、個々の部品の仕様まで詳細に設計します。

まず、システム全体のアーキテクチャを決定します。どのようなセンサーやデバイスを使うか、データをどこで処理するか、ネットワーク構成はどうするかなど、全体像を描くフェーズです。

次に、ハードウェアの詳細設計を進めます。センサーの種類や配置、マイコンの選定、電源供給の方法、通信方式などを決定します。ソフトウェアの設計では、データの取得方法、処理ロジック、データベース構造、ユーザーインターフェースなどを設計します。

設計段階では、セキュリティ対策も重要な検討事項です。デバイスの認証方法、通信の暗号化、データの保護など、セキュリティリスクを最小限に抑える設計を心がけます。

開発

開発は、設計に基づいて実際にシステムを作り上げる工程です。ハードウェアとソフトウェアの両方を開発し、それらを統合していきます。

ハードウェアの開発では、センサーやマイコンを組み合わせて回路を構成します。必要に応じて基板を設計し、部品を実装します。ソフトウェアの開発では、デバイス側のプログラムとサーバー側のプログラムを作成します。

開発中は、ハードウェアとソフトウェアの連携を確認しながら進めなくてはなりません。センサーが正しくデータを取得できているか、ネットワーク通信が安定しているかなど、小さな単位でテストを繰り返します。

テスト

テストは、開発したシステムが要件を満たし、正しく動作するかを確認する工程です。IoT開発では、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワークの各要素と、それらを統合したシステム全体のテストが必要になります。

まず、個々の部品や機能が正しく動作するか確認する単体テストを実施します。センサーが正確にデータを取得できているか、プログラムが期待通りの処理を行っているかなどを検証することが大切です。

次に、複数の機能を組み合わせた結合テストを行います。デバイスからサーバーへのデータ送信、データベースへの保存、ユーザーインターフェースでの表示といった一連の流れが正しく動作するか確認します。

また、システム全体を実際の運用環境に近い状態でテストする総合テストも重要です。長時間稼働させて安定性を確認したり、複数のデバイスを同時に接続して負荷テストを行ったりします。また、ネットワークが不安定な状況やデバイスの電源が切れた場合など、異常系のテストも実施します。

IoTデバイスはインターネットに接続されるため、セキュリティの確保も欠かせません。セキュリティテストでは、不正なアクセスやデータの改ざんに対する脆弱性がないか検証します。

運用・保守

運用・保守は、システムをリリースした後も継続的に管理し、安定した稼働を維持する工程です。IoTシステムは24時間365日稼働することが多いため、適切な運用・保守が欠かせません。

運用では、システムの稼働状況を監視します。デバイスが正常に動作しているか、データが正しく送信されているか、サーバーに過度な負荷がかかっていないかなどを確認します。

保守では、システムの改善や機能追加を行います。ユーザーからのフィードバックを受けて機能を改良したり、新しいセンサーに対応したりします。また、セキュリティの脆弱性が発見された場合は、速やかにアップデートを適用しなくてはなりません。

運用・保守を通じて得られたデータや知見は、次の開発に活かされます。実際の使用状況を分析し、システムの改善点や新たなニーズを見つけることで、より良いIoTシステムの開発につながります。

IoT開発の事例

IoT技術は、日常生活から産業分野まで幅広く活用されています。実際の開発事例を通じて、IoTシステムの具体的な仕組みと活用方法を見ていきましょう。

温度・湿度を自動で見える化するIoTシステム

温度や湿度を自動で計測し、データを可視化するIoTデバイスは、オフィスや工場、店舗などさまざまな現場で活用されています。センサーで取得した温湿度データをネットワーク経由でサーバーに送信し、スマートフォンやPCからリアルタイムに確認できる仕組みです。

温湿度管理システムは、食品保管庫の温度監視、オフィスの快適性向上、工場の品質管理など、多様な場面で役立ちます。データを分析することで、空調の最適化や省エネルギー対策にもつながるでしょう。

家電をスマートフォンで操作・自動化するスマートホームIoT

スマートフォンからエアコンや照明を操作したり、時間や室温に応じて自動制御したりするスマートホームIoTは、身近なIoT製品の代表例です。赤外線やセンサーを用いて家電の状態を把握し、クラウドを介してアプリと連携することで、外出先からの操作や自動化を実現します。

また、温度センサーや人感センサーと連携させれば、室温が一定以上になったら自動でエアコンをオンにする、人がいないときは照明を消すといった自動化も実現可能です。タイマー機能を使えば、帰宅前に部屋を快適な温度にしておくこともできます。

ボタン操作で業務を効率化するIoTシステムの開発

IoTボタンは、ボタンを押すだけでクラウド上の処理を実行できるシンプルなIoTデバイスです。例えば、設備点検の完了通知や備品の補充依頼などを、ボタン操作ひとつで関係者に共有できます。

通信機能を備えたデバイスからネットワーク経由で情報を送信し、クラウド上であらかじめ設定した処理を実行する点が特徴です。ボタンが押されると、その信号がLTE回線やWi-Fi経由でクラウドに送られます。クラウド側では、メール送信、データベースへの記録、他のシステムへの通知など、あらかじめ設定された処理が自動で実行されます。操作が簡単なため、ITに詳しくない人でも使いやすいのが利点です。

IoT開発に必要なスキル・知識

IoT開発には、ソフトウェアとハードウェアの両方にまたがる幅広いスキルが求められます。以下では、主要なスキルや知識を紹介します。

ソフトウェアやハードウェアの知識

IoT開発では、ソフトウェアとハードウェアの両方を理解し、それらを統合する能力が必要です。例えば、ソフトウェアの知識だけでは、センサーやデバイスを適切に扱えません。

ハードウェアとソフトウェアを統合する際には、両者の特性を理解した上で設計する必要があります。センサーからのデータをどのようにプログラムで読み取るか、どのタイミングでネットワークに送信するかなど、ハードウェアとソフトウェアの連携を考える知識が求められるでしょう。

プログラミングスキル

IoT開発には、複数のプログラミング言語を使いこなすスキルが必要です。具体的には、PythonやRuby、C言語などを利用します。

また、データベースの知識も必要です。センサーから送られてくる大量のデータを効率的に保存し、分析するために、データベースを適切に設計・運用するスキルが求められます。

加えて、デバイスのファームウェアをアップデートする仕組みや、リモートから設定を変更する機能など、運用を考慮したプログラムを書く能力も大切です。

情報セキュリティの知識

IoTデバイスはインターネットに接続されるため、セキュリティ対策が欠かせません。不適切なセキュリティ対策は、個人情報の漏洩やデバイスの乗っ取りなど、深刻な問題につながります。

また、IoTデバイスは、一度設置すると物理的なアクセスが難しい場所に配置されることもあります。そのため、リモートからのアップデートに対応し、セキュリティの脆弱性が見つかったときに速やかに修正できる仕組みが必要です。設計段階からセキュリティリスクを洗い出し、適切な対策を組み込む知識が求められます。

ネットワークの知識

IoTデバイスは、ネットワークを介してデータをやり取りします。そのため、ネットワークに関する幅広い知識が必要です。

また、複数のデバイスが同時にデータを送信する際の負荷対策や、ネットワークが一時的に切断された場合のデータ保持など、実運用を見据えた設計が求められます。

IoTやハードウェア技術の実践的なスキルの修得を目指す東京都立産業技術大学院大学

IoT開発を独学で習得するのは容易ではありません。ハードウェアとソフトウェアの両方を理解し、実際に動くシステムを作り上げるには、体系的な学習環境が必要です。

東京都立産業技術大学院大学の情報アーキテクチャコースでは、IoT開発特論などを通じて、IoTや組込分野・各種デバイスで用いられるソフトウェア・ハードウェア技術を習得できます。

働きながら学べる環境も整っており、平日夜間や土曜日の授業を活用できます。同じ目標を持つ仲間とのネットワークも、貴重な財産となるでしょう。興味がある方は、ぜひ入学を検討してみてください。

>>東京都立産業技術大学院大学の情報アーキテクチャコースを確認する

なお、制度やカリキュラムは、必ず最新情報を公式サイトで確認してください。