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社会が変わる方向性を見定め新事業のヒントを探る経営者の学び

慶松 大海さんの画像

創造技術専攻 2016年修了
育英工業高等専門学校(現・サレジオ工業高等専門学校)出身

株式会社 Blueship 代表取締役 慶松 大海さん

IoT時代の到来を前にモノづくりの世界を学ぶ

 会社を興して10年、企業で稼動するシステムの構成や変更の管理を得意として成長してきました。しかしITの世界は変化が激しく、経営者である私は社会の少し先を考え、新たな事業を模索しなければなりません。すでにインターネットが社会の隅々までいき渡り、モノとモノとのネットワーク化がいわれるようになっていました。

 当社は専らソフトウェアという形のないものを扱ってきたため、モノづくりの知識や経験を持っていません。IoTの時代が本格的に到来する前にモノづくりの知見を得ておきたいと思ったことが、AIITに入学したきっかけです。

 インターネットにつながるデバイスはもちろん、世の中で広く愛用されるモノがいかにつくられるかという工程や、多くの人の目を惹くデザインが完成するまでにどのような思考過程を経るものかを理解し、モノやデザインの良し悪しを判断する体系的な基準をAIITで身につけたかったのです。経営者はアイデアを絶やさないことが肝心。未経験の分野を学ぶことで事業展開のヒントを得たり、いわゆる引き出しを増やしたりすることがねらいでした。

学業の時間を確保し仕事をスケジューリング

 入学後は、通学と受講にかかる時間を確保した上で、仕事をスケジューリングしました。インダストリアル・デザイン系の科目や品質工学など、入学前から学びたいと考えていた授業や、個人的に関心があったグローバル系の授業などを一通り受講しました。

 普段から多い出張と重なったときはビデオ授業を活用し、まわりに遅れないよう努めました。PBLには、Webカメラによるテレビ会議で参加することもありました。膝をつき合わせての議論への参加は限られましたが、遠く離れている者同士のカメラを介した同一体験は、PBLの実証実験につながります。

 PBLでは、観光地に足を運ぶことなく、旅行気分を体験できる遠隔Webサービスを開発しました。指導教員から与えられたのは、サービス工学を活用するという課題のみ。一緒に取り組む地方出身の学生や留学生が抱く、遠くの故郷や家族とつながりたいという身近な思いを汎用化した結果、テーマを観光にしました。PBLと並行して、私は会社の沖縄プロジェクトを進めていました。沖縄に出張した際は、那覇市内の各所をカメラで撮影。他のメンバーは、その映像をリアルタイムに観て、開発するシステムの使い勝手や臨場感を検証したのでした。

仕事の世界を越えた人的ネットワーク

 当社の沖縄プロジェクトは、特産の泡盛をカクテルのベースとしてヨーロッパ市場に浸透させようというもの。市場開拓にICTを活用することはもちろん、泡盛というモノを扱うにあたって海外のブランディングチームと連携し、ボトルもラベルも一新しました。

 試作の評価には、AIITで共に学んだデザイナーからのアドバイスも参考にしました。異分野のプロから気軽に意見を聞けるのは、ITの世界にとどまっていた、AIITに入学する前であれば考えられません。幅広い分野に人的ネットワークを広げられたことは、AIITで学んだ最大の財産といえます。

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