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川田誠一学長 式辞

学長

 本日、産業技術大学院大学に入学した情報アーキテクチャ専攻39名、創造技術専攻34名の皆さん、入学おめでとうございます。本日ご列席の来賓の方々、川淵理事長はじめ法人幹部、教職員ともども皆さんの入学を心からお祝い申し上げます。またこれまで皆さんを支えてこられたご家族や関係者の皆さまに心よりお祝い申し上げます。
 本日皆さんは本学で学ぶために新しい一歩を踏み出しました。
 産業技術大学院大学も平成28年4月1日に開学10周年を迎え節目の新しい出発をしたところです。
 さて、実社会で直面する技術課題は演習問題ではありません。一つの専門知識やスキルで解決できない課題がほとんどです。従来の大学院教育で実施されてきた体系的な知を獲得しているだけで解決できるほど現実の問題は単純ではありません。むしろ従来の知識だけでは、その本質を理解することすら困難な複雑性を持っているのが現実です。それぞれが技術横断的な問題解決を必要とするのです。本学では、このような現実の問題を高いレベルで解決できる人材を育成するために豊富なケースを用いた授業や本格的なPBL型教育を導入することで、実践的な業務遂行能力を獲得できるようにしました。このような魅力ある産業技術大学院大学では大学新卒者からスキルアップを目指す社会人学生や起業家まで年齢、職業も様々な学生が集い自らの夢を実現するために学んでいます。

 多様な学生が入学しているとはどういうことか、世代で言いますと、開学時には戦後の焼け跡世代の方が入学したこともございました。団塊の世代、しらけ世代、バブル世代、かつて新人類といわれた世代、氷河期世代、団塊ジュニア、ゆとり世代、さとり世代など多様な方々が学んでいます。年齢だけではなく職種、職層も様々で、大学を卒業したばかりの方、企業の現場で活躍しているエンジニア、管理職、経営者などが本学の学生として学んできました。本学学生や修了生の社長で組織化した社長会も設置しています。外国人学生も留学生だけではなく、日本企業で活躍している外国人の方々も毎年入学しています。このような学生達が同じ立場でチーム活動するような学習環境は我が国では本学でしか見られないと言っても過言ではないでしょう。
 文部科学省に採択されたプログラムも数多く実施してきました。例えば、日本を代表する情報分野の大学院教育を実施する15の大学の1つとして認められ活動しています。その活動は分野・地域を越えた実践的情報教育協働ネットワーク「enPiT」として広く知られています。そして、起業家を育成する「次世代成長産業分野での事業開発・事業改革のための高度人材養成プログラム」も活動を開始しました。これらの斬新なプログラムについても、ぜひ関心を持っていただきたいと思います。
 enPiTの活動では、アジャイル開発を中心としたプロジェクト手法の学習を実施してきました。アジャイルとは動きが速いことを意味します。俊敏さがアジャイルです。顧客視点の開発が重要であることはすべての人が認識しています。しかし従来の開発方法では開発が完了したときにはたとえ半年であったとしても、当初の価値が古くなっていることが多くあり、その反省からアジャイル開発の手法が生まれてきました。当初は大まかな仕様だけを作り、設計、実装、テストというプロセスを何度も繰り返しながら開発を進めていくことで常に顧客価値を見直して開発するのです。開発が完了したときには最新の価値を顧客に提供できます。このような手法を体得できることも魅力です。
 起業家を育成するプログラムでは、真のリーダーを育てようという試みを始めました。観光・物販・医療等の次世代成長産業分野が成長するためには、イノベーションによって従来の仕組みを改革し、事業を再構築できる高度人材が必要です。その基盤技術はマネジメントとIT技術なのです。本プログラムでは、産業分野を成長させるリーダーとしての高度人材を育成することを目的としています。このような教育も新たに開始しました。
 法で定められた7年毎の大学としての機関評価と5年毎の各専攻を対象とした分野別評価のいずれも適合として外部評価機関から高く評価され、本学はさらなる高みに向かって前進しようとしています。
 産業技術大学院大学は、みなさんが学びに没頭できる環境を提供しています。本学を修了されるときには、きっと高いステージにステップアップして立ち、就職先や勤務先で優れた評価が得られ、今以上に活躍できる人材になっていることと存じます。
 本日は、誠におめでとうございます。

 平成28年4月2日

産業技術大学院大学学長 川田 誠一

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