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石島辰太郎学長 式辞

学長

 みなさん、入学おめでとうございます。今年度の秋入学は情報アーキテクチャ専攻8名、創造技術専攻が6名入学されました。

 産業技術大学院大学は、秋入学者と春入学者を合わせて、全体で約80%弱が、みなさんと同じように社会人の方で、普通の大学院と少し違う雰囲気だと思います。様々なバックグラウンド、多様性のある学生で構成されているのが本学の大きな特徴で、それがみなさんの成長を促す強いシナジー効果を生んでいます。

 みなさんは社会人としていろいろな分野で活躍されているので、一定以上の知識やスキルをお持ちだろうと考えております。本学における講義や自ら行う学修を通じて、それらをもう一度見直し、現場で獲得した知識が知識の体系の中でどういう位置付けになっているか確認し、足りない知識の部分を埋め合わせて、完全な体系にしてくことが重要です。それに加えて、仕事を行う上では人間関係やコミュニケーションが非常に重要だと思います。本学では、仕事を行う上で必要となる人間関係も含めた能力をコンピテンシーと総称しており、これを強化していただくことを大きな目標の一つとしております。本学が多様な学生で構成されていることは、コンピテンシーの強化に非常に有効な環境であることが、今までの経験から証明されていると考えております。

 それぞれの専攻の特徴によって実務的なコンピテンシーは少しずつ違いますが、両専攻で共通するコンピテンシーを3つ掲げています。1つ目は、コミュニケーション能力です。異分野の或いは異なるバックグラウンドを持った人たちの間で意思を疎通ための能力です。2つ目は、継続的研究と学習の能力です。これは結構難しいのですが、みなさんはそういう能力をお持ちなのでここに入ってこられたのだと思います。学習意欲を常に持って継続的に学修を続けていく能力です。最後は、チーム活動の能力です。ここでも人間関係が大きく影響してくると思います。リーダーシップだけではなく、フォロワーシップも重要で、チームを健全な形で円滑に運営していく、そういう能力が必要です。これら3つのコンピテンシーをメタコンピテンシーと位置づけており、みなさんには最低でもこの3つを強化していただきたいと考えております。

 みなさんが目指すべき人材像は、このようなメタコンピテンシーを身に着けた専門家です。専門家、プロフェッショナルとして、専門性の高い仕事に就き、一般の人間にはできないようなことも社会の負託に応えて行うことができる、それにより社会はみなさんを尊敬するし、みなさん自身の存在意義が高まります。そういう人材像を目指すために、先ほど申し上げた3つのメタコンピテンシーは少なくとも必要になるのだろうと思います。

 みなさんが修了時に同じ学位を取得したとしても、それぞれ身に着けたものは多分少しずつ違っています。本学では、学位記とは別に、その到達度を可視化するディプロマ・サプリメントという学位を説明する資料をお出しすることになっており、これにより、みなさんの学修成果が明確にわかるようになっております。みなさん、秋入学ですが、本学で整備している長期履修の制度等の活用も検討し、今日この後のガイダンスでもいろいろと聞いて、ご自分でこれから修了までの履修の設計をしてください。

 最後になりますが、本学は小さい所帯でございますので、みなさんと教職員、そして修了生も合わせて、大家族のような、学修コミュニティといったものを構築していきたいと考えております。みなさんには、今日からその学修コミュニティに入っていただき、入学して修了したら終わりではなくて、これから長いお付き合いをしていただきたいと思います。大学が存続する限り、縁を結んでいただいたみなさんを、大学は見捨てることはありませんので、みなさんの方が大学を見捨てずに縁をつないでいただけるようにということをお願いしまして、入学式の式辞とさせていただきます。

 みなさん、今日は本当におめでとうございます。


 平成27年10月1日


産業技術大学学長 石島 辰太郎

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