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キャリアチェンジ 50代
  • 井村 章次さん
井村 章次さん

井村 章次さん

PROFILE

翔瑛産業株式会社 取締役 産業技術短期大学 出身 創造技術専攻 2017年修了

世界中どこでも必要とされるところで自分を活かす 定年後の、技術者としてのチャレンジ

 当時60歳だった定年を間近にして、JICAのポスターが目に止まりました。インターネットで詳しく調べると、インドネシアの高専で技術指導するボランティア、シニア海外協力隊の募集が書かれていました。新日鐵住金で環境分野の技術者として勤めてきた私は、定年後のチャレンジとして応募を決めます。とはいえ、機械工学については多少の経験はあるものの、3Dプリンターなどの最新技術に関する知見が浅いことは否めません。AIITへの入学は、3Dプリンターの構造やシステムなどを学び、これを自由自在に操れるまで理解しようということが当初の大きな目的でした。
 入学後、半年がたち定年を迎え本格的に勉学に打ち込もうとした矢先、突然会社の制度が変わり、定年は65歳まで延びました。しかし、勉学とその後のチャレンジを優先するため、これを辞退し、予定通り退職。取引のあった環境関係の会社に技術顧問として再就職をします。新職場には理解をいただき、非常勤として仕事の負荷を軽減してもらいました。また、働きながら通学することへの負担を考慮し、当初から修了まで3年をかける計画を立てて入学しました。

国際会議で刺激を受け、一念発起

 AIITは、デザイン科目の指導教授に素晴らしい先生方が多く、大学院に相応しい創造技術の勉強をすることができました。期待の3Dプリンターの機構は実際に操作してみると意外にもシンプルでした。そして、私は技術者としてのその後の生き方を定める貴重な人との出会いと経験を得ることになります。
 工学系の専門職大学院であるAIITですが、社会科学系の国際関連科目も開講されています。海外ボランティアに関心があった私はそれらの科目を受講し、PBLも国際貢献の分野で取り組みました。奇しくも、対象国はインドネシア。歴史的遺産を数多く残しながら環境汚染と悪臭が課題となっていたジャカルタで、河川の浄化に取り組みました。環境分野で働いてきた経験も活かし、自然界に存在する微生物の力を借りたシステムは、1カ月で臭いを消し、3カ月後には小魚が泳ぐまで水を浄化しました。
 同じくインドネシアでは、PBLの指導教員の付添でアジア・アフリカ会議の60周年記念式典に参加するという貴重な経験もしました。同時期に開かれた教育関係のセミナーでも刺激を受け、世界のどこであれ必要としてくれているところで自分が役立ちたいという思いを強くしたものです。

言葉の違いを越えたイメージの共有

 AIITを出て半年後、私はシニア海外協力隊の一員として南米のガイアナで、環境関連の技術指導に従事しました。そこで功を奏したのは、AIITで時間外に学んだデザインの手法です。現地の人とのやり取りに、機械屋として慣らした詳細な設計図面では伝えたいことが伝わらず、その場で簡単に描いた漫画のようなデザイン画の方が、言葉の違いを越えてイメージを共有する上で大いに役立ったのです。頼りがいのある友人を含め、AIITで得たことの全てが、今の私を支えています。