研究科の紹介

教員連載コラム

不確かな未来との対話

  • 106回コラム

    enPiT2での2つの「合宿」

    情報アーキテクチャ専攻 中鉢 欣秀 准教授

 本コラムでは筆者が執筆した第78回コラム(本格的にアジャイル開発を学ぶAIITのenPiTプログラムの取り組み)で記したenPiTについて続きを書きたい。enPiTのプログラムは2016年度を持って完了した。主に社会人である本学学生及び学外から参加した受講者に対し、実践的なアジャイル開発技術のためのPBL型教育を提供することができた。また、昨年度(2017年度)から新たにenPiT2として学部の学生を対象とした教育プログラムとして継続している。
 大阪大学を拠点とし、全国規模の大学関連系によって実施されたenPiTは、文部科学省より発表された事後評価(*1)においてS(特筆すべき成果が認められ、当初の事業目的を十分に達成し、当初目標を大幅に上回る効果、成果が得られたと判断される。)を獲得することができた。本学としては、提供した教育プログラム自体はもちろんのこと、FD合宿の開催を通した教員のFD活動の活性化、永瀬特任准教授にもご尽力頂いた女性部会などを通してこの評価に貢献できたと自負している。
 FD合宿は前述の第78回コラムで述べた通り、筆者が発案し、後にenPiT FDワーキンググループの支援を得てenPiTのイベントとして開催することになったものである。もともとは関係者によるささやかなLightning Talk大会が、本格的な合宿としてenPiT2でも継続され、毎年夏と冬に開催して回を重ねている。enPiTで培われた教員間の連携が、enPiT2でも引き継がれてますます発展しているのは、「いいだしっぺ」として嬉しいことである。
 さて、現在実施しているenPiT2は、対象が修士ではなく学部の学生になった。本学はご承知の通り社会人学生が多く通う専門職大学院大学だ。したがって、enPiT2に参加するにあたり、学部学生にいかにして参加してもらうかが懸案事項であった。幸い琉球大学が、我々が実施しているアジャイル開発技術者育成のプログラムに賛同して下さり、多くの学部学生に参加を促してくださった。また、本学教員のコネクションにより、昨年度は東京女子大学、今年度は嘉悦大学と仙台高専といった従来enPiTに参加していなかった大学の学生の参加も得られている。
 本学がenPiT2で提供している教育プログラムの目玉は、夏休みに5日間をかけて実施する合宿形式の授業である。内容は次のとおりである。
 1日目は、アジャイル開発手法の一つであるスクラムをベースに、アジリティの高いプロダクト開発を行うためのチーム開発についての基礎知識を、座学と演習を交えながら学ぶ。
 2日目は、アジャイル開発体験ワークショップを通じて、チームの自己組織化と改善、チームワークによる反復的で漸進的なプロダクト開発のプロセスを体験する。
 3日目は、モブプログラミングによるテスト駆動開発を行い、漸進的に設計しながら正しく動作する綺麗なコードを書く練習をする。ソフトウェアの設計や実装に焦点を当て集中的に練習することで、プログラミングスキルを磨く。
 4日目は、チーム開発のためのスキルセットを身に付けるため、Gitコマンドの簡単な使い方から始めてGitHubフローと呼ばれる分散型の協同開発の方法まで、演習を中心に学ぶ。また、1日目・2日目に学んだアジャイル開発手法を用い、チームで静的なWebページを作成する開発演習を実施する。
 5日目は、ここまでの4日間を踏まえ、学習したこと・体験したことのふりかえりを行なう。学習の成果を発揮するための改善計画の立案を行い、秋学期の発展学習におけるチーム開発をどのように過ごすか計画する。
 本稿の執筆時点では、本年度の夏合宿が終了し、各大学でPBLがスタートしている状況である。学生がこの夏合宿での学びを活かし、最終的なPBLの成果につなげてほしいと願っている。
 また、次回のFD合宿は12月に沖縄で開催予定である。多くの教員に参加して頂き、PBL型の教育における様々な課題の共有や、今後のアクションプランなどが議論されることを期待している。

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