研究

教員連載コラム

不確かな未来との対話

  • 98回コラム

    水中偏光観察

    創造技術専攻 村越 英樹 教授

そう、はじまりは、2015年度のPBLで試作した偏光イメージングシステム1) ,2)。偏光画像の美しさに魅せられて(写真1参照)、趣味で撮影している水中写真に応用できないかと考えた。水中にはエビや魚など、透き通った生物が意外と多く存在し、これらを水中で偏光観察したら、どんな景色が見えるのだろうか?

通常、偏光観察では図1のように、光源をカメラの前面に置き、偏光フィルタを使って偏光を作り、被写体を通り抜ける光をもう1枚の偏光フィルタを用いて観察する。ただ、生きている生物を水中で撮影するのに、このようなセッティングを用いることには無理があると思い、図2のように反射光を利用することを考えた。陸上(薄暗い部屋)で図2の方法を実験してみたところ、それなりの発色が得られたので、このセッティングで いざ 水中へ。

撮影した結果は、この通り(写真2:ハクセンアカホシカクレエビ)。残念ですが、通常の写真と変わりませんでした。背景からの反射光が悪影響を与えているのではないかと考え、背景に黒いボードを置いて撮影してみた(写真3)。頭の部分と腰を折ったように見える尾の部分に、うっすらとではあるが偏光色を確認できる。

とりあえず、偏光色は出たが、写真1のような発色を期待していたのに、写真3では期待外れである。黒いボードで背景からの影響を取り除き、被写体の境界面での反射光をとらえた結果であるが。。。もっと積極的に背後からの反射光を利用できないか? と考え、図3のように被写体の後ろに偏光フィルタを貼ったレフ板を置くこととした。これにより、レフ板に反射された偏光が、被写体を透過することになる。

写真4が偏光フィルタを貼ったレフ板を利用して撮影したものですが、きれいに出ましたね。正直、ここまで偏光色が出るとは思っていなかったので、この画を見た時には感動しました。ただ、このようにレフ板上での撮影では、不自然な状態で、美しくない。自然の状態でこの発色を得るためには、もう一工夫必要ですね。もう少し頑張ろう!

ハクセンアカホシカクレエビだけでなく、クリアクリーナーシュリンプやガラスハゼなどもきれいに発色することを確認していますが、ここでは割愛させていただきます。
ここまで、水中偏光観察(撮影)に纏わる試行錯誤を書きましたが、こんな試行錯誤も研究としてありなのかなぁ。。。? と思いつつ。。。。。。

あーっ、重要なことを書き忘れるところでした!

冒頭で紹介した2015年度PBLの偏光イメージングシステムですが、この時のメンバが研究を継続し、この春、多角的偏光イメージングシステム Polamazing 1000として製品化・事業化しています。

参考文献
1) 村越英樹,笹尾英樹,滝克彦,小坂耕平:偏光イメージングのための多角的撮像システムの樹脂成型品評価への応用 <樹脂成型品の品質可視化に向けて>,プラスチックス,Vol.67,No.10,pp.7-11 (2016-10)
2) 滝克彦,笹尾英樹,村越英樹:「成果」志向のAIIT PBLの運営戦術 ~2015年度村越PTの活動から~,産業技術大学院大学 紀要 第10号 (https://aiit.ac.jp/about/pdf/resource/2016_bulletin.pdf),pp.119-125 (2016-12)

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