平成30年度秋季学位授与式

 平成30年9月15日(土)、産業技術大学院大学秋季学位授与式を実施しました。この日、情報アーキテクチャ専攻5名、創造技術専攻2名が修了しました。修了生に向けた学長の式辞を紹介します。

川田誠一学長 式辞

川田誠一産業技術大学院大学学長

 本日、修士の専門職学位を授与される7名の皆さん、まことにおめでとうございます。
本日ここに情報システム学修士5名、創造技術修士2名が新たに生まれます。列席の教職員ともども皆さんの学位授与を心からお祝い申し上げます。またこれまで皆さんを支えてこられたご家族や関係者の皆さまに心よりお祝い申し上げます。

 さて、平成18年開学以来今年度10月までに合計1,200名の学生募集を実施し、1,262名の学生が入学しました。累計しますと平成18年に開設した情報アーキテクチャ専攻では情報システム学修士493名、平成20年に開設した創造技術専攻では創造技術修士382名、合計879名の修士を本学は送りだすこととなりました。長期履修生として長く学んでいる方や、業務多忙、転勤、出産などで学業を中断せざるを得ない方がいるなかでの数字です。さて、産業技術大学院大学で学位を授与される皆様は、情報システム学修士、創造技術修士のようにそれぞれの専攻が目的とした高度専門職人材育成の専門職学位課程を修了した証としての学位が授与されます。専門職大学院大学だけが付与できる専門職学位であります。

 本学のように高度情報人材育成とデザインと工学を融合した高度ものづくり人材育成を総合的に実施している専門職大学院は日本でも本学だけであり、このユニークな教育の実践について、文部科学省を始めとして政府機関からも本学に大きな期待が寄せられるようになってきました。

 一つの事例としては昨年6月に政府が閣議決定した未来投資戦略2017-Society5.0−の人材育成のKPIのひとつとして「2020年までに大学・専門学校等の社会人受講生を100万人とする。」が掲げられました。現状の日本の社会人受講生数は50万人に届いていませんので、あと5年で二倍以上にさせるということであります。この100万人という数は我が国の現在の18歳人口約120万人に匹敵する数字であり、この規模の社会人が大学や専門学校で学びなおすリカレント教育時代を実現しようというのであります。

 このような状況において本学がリカレント教育における高度人材育成の先頭を走っているといっても過言ではないと考えております。
実際、昨年11月には文部科学省が本学を研修場所に選び、北は北海道から南は沖縄までの大学職員106名が本学を訪れ、社会人大学院の運営のノウハウを学びました。そのときの講義で私が強調したことは、社会人が学びやすい環境を大胆に作っていくことが重要であること、高校卒業後直ちに大学に入学し大学院に進学した学生を受け入れる従来の大学院の常識からいったん離れて社会人、それも22歳から70歳台までの多様な経歴を持った学生を対象とした学びの仕組みを構築する必要があることを力説しました。今後は、本学のような大学院が当たり前のように運営される時代が来るのではないかと考えております。

 本日学位を授与された皆様は、AIIT‐PBLメソッドを実践する授業科目の履修により、高い職務遂行能力を獲得されました。このことは、皆様の今後のキャリアアップ、キャリアチェンジ、スタートアップにおいて大きな力となることと確信しています。

平成30年度秋季学位授与式

 そして、皆様が実践されたプロジェクトの中には、産業界との連携や、自治体との連携、さらには本学と連携しているASEAN諸国の大学との共同プロジェクトなどがあったことでしょう。アジャイル開発、ビッグデータ活用サービス開発、観光 ICT、ICT医療応用、サイバーセキュリティ、深層学習応用(AI)、サービスデザイン、コミュニケーションデザイン、地方創生、ロボットとの共生、高齢化対策モビリティ、貧困層ビジネスによる国際貢献、東京 2020 オリンピック・パラリンピック競技大会関連プロジェクトなど、いずれも先進の課題を独自に設定し、斬新な方法を開発して課題解決に挑まれました。

 家族との生活や仕事との両立、多様な学生との交流を進めるなかで、いろいろな課題に直面したことと思います。それらを克服し学業を成就されこの日を迎えられた皆様に改めて敬意を表します。

 さて、皆さんご承知の通り、本学ではコンピテンシーの獲得を一つの課題としています。全学共通のメタコンピテンシーはコミュニケーション能力、チーム力、継続的学修と研究の能力であります。これらの用語は広く重要性が認識されているので、ややもすると陳腐な言葉と看做されがちです。しかし、コミュニケーションを、その言葉の本来の意味である「分かち合う」という意味で理解し、人を説得するのではなく納得していただくという視点でコミュニケーション力を発揮するには、自身の考え方やマインドを根底から変えることが必要です。皆さんは、本学のPBL型教育を通じてそのような実践を続けてきたことと思います。

 そして一人の天才の力とは異なるチームが発揮する天才の力で様々な課題を突破する能力を獲得したことと思います。さらに本学で学んだ成果をさらに発展させるために継続的に学習や研究を進める意欲を獲得したことでしょう。

 このように、更なる高みを目指して本学に学び、本日学位を授与される皆様を我々は誇りに思います。

 どうか皆様、本学で学んだ知見を活かし、幸せな輝かしい人生を歩んでください。
本日はまことにおめでとうございます。

平成30年9月15日
産業技術大学院大学
学長 川田誠一