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産技大で学ぶ。

修了生たちのキャリアデザイン
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キャリアアップ 50代
  • 井上 匡さん
  • 田村 正人さん
井上 匡さん

井上 匡さん

PROFILE

株式会社東京リテラシー代表取締役
株式会社システムシンカーズ代表取締役
横浜市立大学出身 創造技術専攻 2015年修了

頭の中に未来へのナビゲーションを持つ。 経験の積み重ねが意味をなし難い時代に。

 メディアの主役は、ここ30年で激変しました。私が社会に出た頃、最も輝いていたのは広告業界。優れた才能は、新聞や雑誌の広告、大型のポスター、テレビCMの制作現場でしのぎを削っていました。
 私も渦中の一端で多くの現場を踏み、スキルを磨くことに力を注いでいました。当時は、経験の積み重ねがキャリアに反映され、力量の証明にもなったからです。
 インターネットには1995年の黎明期に関わり、早くからその可能性を理解していたつもりですが、1998年に興した制作会社の仕事は、通信インフラが未整備だったこともありまだ紙メディアの仕事が主流でした。しかし、インターネットの広がりとモバイルデバイスの普及で状況は一変します。なかでも決定的な変化は、日進月歩のテクノロジーが支える世界では、特定の技能の積み重ねが意味をなさなくなったこと。早晩ベテランの技術は不要になります。
 そうした時代に経営者として必要なことは、未来を読むことです。社会全体をマクロな視点で捉え、変化にいち早く備えるためのナビゲーションを頭の中に持ちたいと考え、AIITに学びました。

何かが得られる授業はビデオで知識を定着

 創造技術専攻を選択したのは、ここで学べる技術経営(MOT)やイノベーションの手法が応用できるのではないかと思ったからです。ここで得た知見から時代を読み解くナビゲーションを構築し、会社を刷新する計画でいた私は、得ることが多そうな授業をひとまず受講し、期待通りであればそのまま履修。その授業はビデオを繰り返し観て、内容を自分の知識として定着させるよう努めました。

次の変化に備え自らをイノベーション。

 3年の長期履修で得た最大の成果は、物事をどのように考え、世の中の在り様を頭の中でどう構築するかという方法論を手に入れたことです。経験の積み重ねが役に立ち難い世界では、物事を多角的に見て、臨機応変に対応する力が求められます。
 新たに入手した情報とすでに持つ知識とを状況の変化に応じて常に見直し自分なりの知見を創出する。その知見をナビゲーションとし、先を見据えた経営ができるようになりました。
 会社の事業は現在、モバイルコンテンツの制作とそのコンサルティングが中心。取引先や仕事仲間も変わりましたが、いつかはかつて紙メディアを共に制作した仲間が経験の積み重ねにより得た力を発揮できる『場』をつくり出すことが私の夢。その受け皿としても、会社を一日でも長く存続させたいと考えています。

田村 正人さん

田村 正人さん

PROFILE

東日本電信電話株式会社所属
(一般財団法人 海外通信・
放送コンサルティング協力に出向)
長野工業高等専門学校出身 情報アーキテクチャ専攻 2016年修了

国際プロジェクトを先導する力を修得 専門分野を強化する33年ぶりの学生生活

 NTT在職時代に1998年の長野五輪で通信システムの管理・運用に関わったことを機に、海外事業が仕事の中心になりました。現在は通信・放送分野の国際開発コンサル法人に出向し、途上国で情報通信や放送インフラの構築に向けたコンサルティングに当たっています。相手国の政府と共に、現地での調査結果に基づき日本のODAとしてプロジェクト化し、これを完成させるまで関わります。
 AIIT入学は53歳のとき。高専を出て20歳で就職して以来、33年ぶりの通学となりました。目的はICT分野における専門知識の強化、プロジェクトをマネジメントする能力の体系化と新たな知見の修得、そして修士号の取得です。

海外で求められる能力を体系的に身につける

 私はICTの専門家として途上国に派遣され、現地ではその知見が求められます。ICTのうちC、つまりコミュニケーションについては仕事で多くの実績を積んだ自負がありました。それに比べ、虫食い状態だったITの知識の穴を埋め、最先端の知識を加えて知見の体系化を目指しました。
 プロジェクトマネジメントについては、経験による自己流を見直し、汎用性の高い手法を身につけようと考えていました。
 AIITにはPM(プロジェクトマネージャ)育成のための教育が充実しています。PMBOKという知識体系があることは知っていましたが、細部まで決められたマニュアル本的であり、すべてをマスターしなければいけないと思い込み、手をつけずにいたのです。しかしAIITの授業は、自分に必要なこととそうでないことを解きほぐしてくれ、PMBOKを参考書として扱えるようになりました。さらに有意義だったことは、学校では学べないと思っていた人間性について一定の基準を獲得したこと。AIITの授業はPMに求められる人格を形成する要素を細分化することで、自分が充たしていることと足りないことを気づかせてくれる工夫が施されていました。
 そして修士号の取得は、海外で仕事をしていくなかでその有無が重視されることを知ったため。今後、私が発案したプロジェクトを実行するためには、必要な学位と考えたのです。

自分の力を客観視し次の挑戦の足場とする

 もとより2年間ですべてを学び、身につけようとは考えていません。しかし、AIITで学び、強みと弱みを客観的基準で判断したうえで、自分のポジションが自覚できました。その結果、取り組む仕事の全体をグリップでき、わきまえることを覚えた半面、強みを生かせる仕事にはさらに自信を持って臨むようになり、次のことに挑戦する確かな足場ができたと思います。