研究科の紹介

産技大で学ぶ。

修了生たちのキャリアデザイン
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キャリアアップ 40代
  • 石井 浩靖さん
  • 江川 潔さん
  • 周 剛さん
  • 長嶺 勧さん
  • 淵澤 和行さん
  • 三宅 由美子さん
  • 森 憲朗さん
石井 浩靖さん

石井 浩靖さん

PROFILE

外資系コンピュータ会社 仙台電波工業高等専門学校 (現・仙台高等専門学校)出身 情報アーキテクチャ専攻 2011年修了

セカンドライフのキャリア開発 会社の肩書を離れたキャリアを考える

 AIITに入学したときは、外資系の大手コンピュータ会社にいて四半世紀が過ぎ、プロジェクトマネージャ(PM)としてのキャリアも積んでいました。私生活で子育てを終えた頃、具体性を持って考えるようになったのは60歳以降の生き方についてです。
 私には若い頃から、自分の能力で海外ボランティアに貢献したいという夢がありました。その夢を定年後に実現するためには、会社での肩書なしにキャリアを証明できるものが必要であろうと考え、AIITの門を叩きました。主な目的は、修士号を取得することとIT業界しか見てきていない視野を社会に広げることです。
 AIITには、日本のITの土台をつくり上げた方々が指導者として名を連ねています。その講義内容は専門的であることはもちろん、この国のIT業界の常識であるはず。学生も、多様な分野から集まります。そうした各界でキャリアを積んだ方々と知り合い、日本のビジネスのマジョリティに触れられることも、アメリカのルールに則った外資系企業で働いてきた私にとっては魅力に思えました。

知識を効率よく吸収できる洗練された授業内容

 受講して気づいたのは、この大学の教育が洗練されていることでした。例えば私自身が経験と知識を持つPMについても、深い知識を短期間で効率よく吸収できる仕組みが確立されています。
 PBLにも同じことがいえ、プロジェクトを進めながら専門的な知識を修得できるテーマが用意されます。私たちが取り組んだテーマは、PM育成のためにつくられた既存のシミュレーション・ソフトを改良し、新しいモデルを考案すること。苦労した甲斐あってよいものが出来上がり、現在も授業で使われているはずです。
 そうした結果以上に貴重な体験となったのは、若い人と同級生としてプロジェクトに取り組めたことでした。会社に戻れば私にも後輩がいて、若い世代と接する機会はあります。しかし、やはり上司と部下の関係。その点、大学では年齢が離れていても同級生ですから、対等な立場で議論し、思いも寄らぬ考え方や価値観に触れられました。
 考えてみれば年下が年上の命令に従うのは、上下関係がはっきりしている会社内だけ。海外か国内かを問わず、社会活動の多くは異世代との協働です。PBLに取り組みながら、私はその予行練習をしているような気になりました。
 ところで、現在勤務する会社は入学時に在籍していた企業ではありません。修了と前後して転職したのです。大きな理由は、AIITで学んだことを仕事に活用してみたくなったから。セカンドライフを始めるまで、もうしばらく自分の可能性を試してみたと思います。

江川 潔さん

江川 潔さん

PROFILE

株式会社共和電業所属 東海大学大学院出身 創造技術専攻 2014年修了

他に類を見ないアジアネットワークに着目 世界有数のエコノミストにプレゼンテーション

 学生時代から現在まで、一貫して無線通信の世界でキャリアを積んできました。AIITに入学したのは、外資系の通信会社で無線ブロードバンドシステムのエンジニアとして働いていたときです。AIITが立ち上げた「APEN(アジア高度専門職人材育成ネットワーク)」の組織と活動に着目した私は、そのネットワークを通して新興国でのサービス開発と人脈の拡大を図りたいと考えました。
 グローバル化がいわれて以降、日本でも海外の大学と協定契約を結ぶ教育機関が増えています。数あるそれらの学校間協定と「APEN」が一線を画すのは、相手国およびわが国の政府が、国際組織としての価値を認証していること。つまり「APEN」での活動は、アジア諸国の政策にも影響を与えうる可能性を持つということです。AIITでは、そうしたグローバルなダイナミズムと身近に接するとともに、私と同じような考えを持つ人との人的ネットワークを築きたいという思いがありました。
 実際、国際金融市場での新たな融資モデルを開発したPBLの成果を、ジャカルタで発表する機会を得ます。研究発表の会場で世界有数のエコノミストと議論ができたのも、「APEN」の枠組みがあったからこそ。その時の興奮は、いまも鮮明に覚えています。

インベンションとイノベーション

 無線通信の開発現場に長年いた私は、新たなスキルの修得は求めていませんでした。しかし、大学院から社会に出て約15年が過ぎたところで学んだAIITでは、それまでがむしゃらに突き進んで蓄積した知識や技術を系統立てて整理することができました。
 また、30代に疑問を持って以来、誰に尋ねてもなかなか明快な答えが得られなかったインベンションとイノベーションの違いについても、私なりの解釈を確立することができました。その結果、仕事への取り組みも変わりました。
 エンジニアである私はそれまで、既存にないものを創出するインベンションに多くの価値を見出していました。しかし、「インベンションとイノベーションとの違いは?」という禅問答のような問いに対してもAIITの教授陣は明快な言葉をもって学生の視野を広げてくれます。以降、自身のここだけは譲れないというコアスキルを客観視できるようになったため、イノベーションを起こすために活用する技術の優先順位も明確になり、他社との協業もスムーズになりました。
 いまは自分のコアスキルの活用先として、常にグローバルな視点と産業を問わない広がりを実感しています。

周 剛さん

周 剛さん

PROFILE

株式会社アイ・エス・ブレーン
代表取締役
中央大学卒業 情報アーキテクチャ専攻 2010年修了

起業後自ら学び、社員教育の礎に プログラミングについて古い知識を更新する

 会社を立ち上げるまではシステムエンジニアとして、主に製造業の情報システムを開発していました。当時のシステム開発で使われていたのはPrologという、いまではあまり聞かなくなった言語。大学や研究機関などでは現在も扱われているかもしれませんが、私が知る限り、企業のシステム開発には使われてはいません。
 起業後、システム開発で多く使われるC言語やJAVAなどを理解しなければ、社員教育がおぼつかないと考え、流行りのプログラミング言語を含め、情報システムに関する新しい知識を得るためAIITに入学しました。「営業」と称して飲み歩く時間を勉強に充てたほうが、健康や仕事のためになり、お金の有効活用にもなるだろうという思いもありました。また、仕事をしていくなかでは接することのない同業者と知り合える期待もありました。

利害関係のない同業者との修了後も続く交流

 AIITで2年学んだ成果は、入学時の思いを上回りました。私のプログラミング技能は、就職してから身につけたもの。原理などの根本から積み上げてはいません。しかし授業で開発の主流となった言語を学びながら、プログラムの構造まで理解を深めることができ、仕事で扱うプログラムと理論が初めてジョイントされました。また、システム開発をマネジメントする仕組みも理解できたことで開発業務を見渡せるようになり、経営という点でも開けた視野を獲得しました。
 そして何よりの財産となったのは、利害関係のない同業者の人脈を得たこと。修了後も交流が続く彼らは、広い意味でITに関わる同業者ですが、専門とする分野や立場が異なります。そうした人たちとつながりがあることで、私が知らないことに精通した人を手軽に教えを請うことができます。これは、会社を経営する者にとって大変心強いことです。

会社をあげてAIIT入学を奨励

 会社の社員は全員、中国の大学から新卒で採用した者ばかり。その新人研修は、テキストも手法も私がAIITで学んだものを活用しています。また、学ぶ意欲のある社員にはAIITへの入学を奨励し、会社の方針として、例えば事前の申告があれば早めの退社も早退扱いにしないなど、学ぶための時間を可能な限りつくってあげられるよう配慮しています。それは、AIITで学ぶことが有意義であることを、私自身が経験したからに他なりません。
 面倒見のいい先生は、いまも時々当社に足を運びアドバイスをくれ、私も時間を見つけてはAIITを訪ねます。AIITは私の会社になくてはならない存在です。

長嶺 勧さん

長嶺 勧さん

PROFILE

米保険系金融グループ ITサービス会社 武蔵工業大学(現・東京都市大学)出身 情報アーキテクチャ専攻 2008年修了

学びを学ぶ面白味 道理だけではすまない仕事の経験を理論がモノをいうアカデミックな環境で検証

 AIITに入学したのは、社会に出て20余年を経た頃です。金融業務のIT化と軌を一にした私のキャリアは、プログラマーやSEの経験よりもシステムのプランニングや開発プロジェクトの管理、そしてシステム監査や情報セキュリティなど、そのほとんどが管理する側での経験を重ねてきたものです。この経験や知識を、アカデミックな環境(学問の視点)で客観視してみたいと考えました。
 ここで言う客観視とは、身につけた知識の整理・体系化を求めたものではありません。ほとんどの仕事は、道理だけでは済まされず、いろいろなコトやモノに配慮することが不可欠でした。そうした経験を積み重ねてきた自分が、理に重きを置く学問の場でどうなのか見てみたかったのです。

先生方の指導姿勢に触れ変革した仕事へのスタンス

 もちろん、様々なカリキュラムを通して新しい知見を得ましたし、PBLも貴重な体験となりました。しかし、私にとって重要だったのは、それらを指導する先生方の振る舞いに接したことでした。
 私が学んだ先生には、教科書等の字面だけを追いかけて教える方は見当たらず、常に自作のプリントだけを用いる先生もいれば、教科書の内容について自身の経験に基づく考えを加えたり、あるいはそれらをミックスさせたりしていました。翻って仕事を考えると、社内や業界のルールとされるものに沿うことを、常識ある社会人のわきまえとし、発想や思考をどこかで制限してきた自分に気づきました。
 しかし、大きな方向性や本質の見極めを誤っていなければ、敢えて独自性や意外性をもつ考えを加えることで、新たな展開を迎えることもあります。あらかじめ引かれている、と思い込んでいた思考の境界線をはみ出してみる醍醐味とともに、はみ出し方についても、先生方の指導姿勢を通して学べたと思います。
 また、迷ったら原点に戻るという学問ならではのアプローチもあらゆる場面で活かせるようになり、仕事上のトラブルを事前に回避するための過剰な先読みもなくせました。

仕事上のトラブルも学びの一つ

 AIITで私が得たのは、学びのプロセス。振り返れば仕事はもちろん、大学までの学校生活でも、進学や卒業、就職のためというゴール指向(目的・結果主義)で学んできました。AIITで初めて、学ぶことそれ自体、言い換えれば新たな何かを知り身につけていく過程の満足感を味わいました。
 以来、仕事でのトラブルも、人生を豊かにする学びとして捉えるように心がけ、学びになっていなければ、どうすれば学びとして楽しめるかを考えるようにしています。
 AIITで学んだ最も有意義な成果は、学ぶこと自体の面白さを体感したこと。その経験は、仕事の取り組みや発想をより自由にしてくれました。

淵澤 和行さん

淵澤 和行さん

PROFILE

東京海上日動システムズ株式会社 取締役 早稲田大学出身 情報アーキテクチャ専攻 2011年修了

情報技術を幅広くリフレッシュ 意志を継続させるため通学して学ぶ、を選択

 AIITへの入学は48歳のとき。システム開発の実動チームである子会社に出向したことがきっかけです。「抜本改革」と称し、基盤からつくり変えるタイミング。新たに開発するシステムには、最新技術の導入が求められます。しかし、本社のIT企画部門に10年いて社内調整を主な仕事とした間に、情報技術のトレンドワードは一変していました。開発を管理する立場の私が、当時の最先端に追い付けていないことを自覚。ITの知識をリフレッシュするための学び直しの必要性を、ひしひしと感じるようになりました。
 メーカーなどが開く研修を受講してみましたが、分野が特定されITの最新状況を見渡すことができません。また、通信制の大学院も考えましたが、帰宅後も緊張感を保ちながら机に向かうより、通学して授業時間に集中したほうが学ぶ効果が高いと判断し、AIITへの入学を決めました。

基礎を身につければ知識は雪だるま式に増やせる

 入学の目的であるIT知識を刷新させることは、1年次の講義でおおかた達成できたと思います。すべての最新技術について使いこなせるようになることは、そもそも望んでいません。私が求めていたのは、トレンドとされるキーワードの意味を知りIT全体での位置づけを理解して、開発の方向性を示せるようになること。基本的なことを身につけておけば、日々の実務の中で補強され、知識量は雪だるま式に増えていきます。その核となったのが、AIITの授業でした。

深く学べるから仕事で活用できる

 入学時には想定していなかった学修成果としては、プロジェクトマネジメント(PM)を体系的に理解できたことがあげられます。プロジェクト管理は役職上、すでに実践していました。しかし、それは社内のルールに従った業務であり、形式的に実行できても本質を理解してはいなかったことをAIITで知りました。ここではPMにテーマを絞った90分の講義を15コマ、それを年4回受けることができます。企業人向けの社外セミナーと比べても時間のかけ方が大きく異なり、おそらくPMについてAIITほど深く学べる機会はほかにないのではと思っています。
 会社の業務にEVMというPMの手法を導入できたのも、AIITで学び実用的に使いこなせるまで有効性を十分に理解できたことと、PBLを通して実践的な練習を積めたことにほかなりません。取締役に就任してから、IT系企業の経営者が講義をしてくれた1年次の「CIO特論」の内容が反芻されるなど、AIITでの学びや経験は仕事上、多方面で有用な財産となりました。

三宅 由美子さん

三宅 由美子さん

PROFILE

総合電機メーカーIT系関連企業 公立大学理系学部卒業 情報アーキテクチャ専攻 2014年修了

AIITは新たな人脈形成の場 仕事と学業の両立に配慮された制度

 AIITへの入学は、ITについて体系的に学び直すことが目的でした。  社内外のプロジェクトマネジメントやITサービスマネジメントの講義を担当するようになり、それまでの経験や知識を棚卸しし、最新のITについて柔軟に人材育成へ活用できる引き出しを整えたいと考えたのです。
 仕事をしながら大学院に通うという選択肢を知りましたが、当初は多忙な業務をこなしつつ通学することが困難に思えました。そのためAIITの科目等履修生として1科目のみを受講していたところ、仕事と学業を両立させている社会人が数多く学んでいることを知り、私も情報アーキテクチャ専攻への入学を決意しました。
 入学後、AIITが整えている社会人学生に配慮した制度の有効性を実感しました。例えば講義はすべてビデオ撮影されるため、欠席した回を自宅で視聴することや復習に使うことができます。アーカイブ化された動画は、修了後の再勉強にも活用できます。
 私が何より助かったのは、4クォータ制であることでした。科目の履修届は3ヵ月ごとですから、私はまず3ヵ月先までの仕事のスケジュールを立て、履修可能な講義を選択しました。しかも3回受講した後で正式登録すればよいので、授業内容と日程を吟味して、学ぶ目的にマッチした科目だけを正式に履修登録し、時間を効率的に活用できました。

入学時には予想しなかった視野の広がりを実感

 AIITでの2年間の学びは、当初の目的を達成して余りある内容でした。入学時に目指した専門分野の体系化はもちろん、学術的な視点でITの最新知識を吸収することもできました。
 また、グローバルな視野の広がりは、入学時には予想していなかった成果です。AIITは、他専攻の科目履修が可能。私のグローバル感覚も、創造技術専攻の授業内容を基盤としています。異文化を背景とする人とのコミュニケーションについて考えることを通し、私の興味は政治や経済、歴史にまで広がっていきました。
 修了後もAIITの多くの仲間と多くの時間を過ごし、ITだけではなく、日本におけるイノベーションのあり方について考えるときを有意義に感じています。それはAIITの科目履修を始めた日から続いています。
 私自身が躊躇したように、仕事をしながら大学に通うことは高いハードルだと思うかもしれません。しかし「学びたい」という思いは、新しい世界への扉を開くこと。そのチャンスを逃さずに活かし、自身の成長につなげてください。

森 憲朗さん

森 憲朗さん

PROFILE

プロダクトデザイナー
事業プロデューサー
武蔵野美術大学卒業 創造技術専攻 2013年修了

デザインの発信力を高める 修了生のユニットで海外のデザインコンペに入賞

 2013年と14年、私もメンバーの一人であるTeam INNOS(イノス)による作品が、海外のデザインコンペティションで最優秀賞、優秀賞と2年連続の上位入賞を果たしました。
 Team INNOSは、AIITの修了生により結成されたデザインユニット。授業を通して志を共感し合った4名が、仕事とは別のところでコトづくり・モノづくりの場を持とうと集まった異業種集団です。修了後も続いた交流のなかで、在学中に創案したアイデアを作品化して応募したところ、大きな賞をいただきました。現在まで8名に拡大したメンバーは、それぞれ本業の状況に応じて関わり方を融通しながら、企業や学校に属さない自由な創作活動を続けています。

過去の実績を一旦置き自分のデザインを客観視

 本業はプロダクトデザイナー。外資系エレクトロニクス機器メーカーでデザインブランチオフィスのヘッドを務め、更に日本市場におけるブランディング形成など、経営に直結するデザイン戦略を立案する仕事に取り組んでいます。経営層やマーケティング、営業など他部門との連携も増大、社外との交渉も日常的になりました。話をするのは、技術部門にとどまりません。デザインへの関心・認識が薄い相手にもそれが創出する価値を理解してもらうため、専門分野以外の人に伝える力が必要であると考えるようになり、AIITに入学しました。
 それまでの実績を一旦脇に置き、自分のプロダクトデザインに対する考え方やスキルを、利害関係のない場で客観視しようと考えました。また、デザインを重要な経営資源と位置づけ、広い視野でプロジェクトを遂行させるために足りないピースを修得するねらいもありました。

仕事上で高めた批判・反論への対応力

 AIITで学んだ成果は、十二分にあったと自己評価します。なかでも、専門分野や世代が異なる学生による共同作業は、自分と異なる意見や視点を理解し対応することの訓練になりました。特にPBLでは、情報アーキテクチャ専攻の学生とのコラボチームを形成したため、前提や背景が全く違う学生でプロジェクトを遂行。そうした経験により、仕事上のレジリエンスを高め、思いも寄らぬ批判や反論への対応力を身につけたことで、デザインの発信力を強めることができました。
 エレクトロニクス市場をはじめ、各業界でのグローバル競争は激化の一途を辿っています。AIITで身につけた力を存分に発揮し、これに勝ち抜くことが仕事上の使命。一方、AIITの仲間とのユニットでは、コトづくり・モノづくりの喜びを純粋に追求したいと考えています。