研究科の紹介

未来技術動向(アウトルック)Master Program of Future Technology Trends

未来技術動向(アウトルック)について

 今後必要な未来技術の動向を把握し、学生の獲得すべき専門分野を明示しカリキュラムに反映することを目的に、産業技術大学院大学では、本学の教員陣が各自の専門領域に関連する技術動向とその展望について、今後3年から10年先に主流となる技術動向の予測を未来技術動向(アウトルック)として作成しています。

概要

【情報システム分野】
未来技術に影響を与える要因から導き出した「5つの方向性」

(1)ソフトウェア開発

背景
クラウドサービス、ソフトウェア購入からサービス購入へ
方向性
プログラミング+サービス提供、並列処理・並列プログラミング
技術課題
・超分散環境、膨大なユーザ数、高可用性、高信頼性
・アップデート、デプロイの継続
・クラウド向けのソフトウェア開発技術、開発プロセス

(2)Internet of Things

背景
各種デバイスとクラウドとの連携
方向性
・あらゆる「物」がネットワーク化
・ネットワーク利用形態の変化
技術課題
・低性能、低コストセンサとクラウドとの連携
・膨大な数のデバイス、膨大な量のデータの管理
・システム化(スマートグリッドとの連携など)
・バッテリー問題、セキュリティ・プライバシー問題

(3)ヒューマンセントリックサービス

背景
・スマートフォン、各種センサ、ロボットなどの一般化
・Kinect(MS)、Siri(Apple)などの普及
方向性
・人とコンピュータシステムとのインタラクション
・ジェスチャー、音声などの利用
・クラウドとの連携
技術課題
・長年研究されてきた分野
・コスト、精度などの実用化における課題
・サービス、アプリケーションとしての提供

(4)ビッグデータ活用

背景
・ヒューマンセントリックサービス、IoT、M2M
・クラウドサービス、SNSなど
方向性
・ユーザアシスト、パーソナライズ、リコメンド
・行動予測など
技術課題
・ビッグデータ解析手法、機械学習
・データストリーム分析

(5)ICT技術による社会的問題の解決

背景
・ディジタル社会、統合されたシステム(法、社会、文化など)
・モバイル、組織横断、クラウド、SNSでの情報共有
方向性
・CS領域の複数分野において、深い専門性と洞察力が必要
・超大規模システム、セキュリティ、プライバシへの配慮
技術課題
・自動走行車:高齢者にとっての操作性、安全性
・スマートグリッドとITS:省エネ、経済発展の維持
・個人別投薬:プライバシ、コスト削減とQoLの向上

【イノベーションデザイン分野】
5つの切り口から分析した「未来のイノベーション」

技術革新によるイノベーション

技術革新によるイノベーション

(1)テクノロジー・イノベーション

成熟したかに見える分野でもイノベーションにより不連続性に基づく成長を可能にする。不連続なSカーブに示されるような技術の発展をもたらす技術革新が求められている。

成長曲線Sカーブと開発設計

 1つの成長曲線は、「萌芽期」「成長期」「成熟期」の3つのステージに分けられ、それぞれのステージにおいて、開発設計部門のとるべき戦略は異なる。すなわち、萌芽期では新しい機能の開発が、成長期では多機能化および品質・信頼性が、成熟期では低コスト・短納期が求められる。

感性と機能の融合によるイノベーション

感性と機能の融合によるイノベーション

(2)デザイン・イノベーション

 機能デザインだけでなく、感性デザインを融合してイノベーションを起こす。差別的要素としての感性デザインは、製品の感性価値を高め、顧客に喜びを与える。
 創造技術専攻では、感性を駆使して機能を実現する構造を創出し、人々に具現化された新たな価値を提供するプロデューサー的人材を「ものづくりアーキテクト」と呼び、そのような人材の育成を目指している。

(3)サービスイノベーション

 例えば、アップル社は2001年のiPodを手始めにiPhone、iPad 、Apple TVを投入し、iTunes Storeでコンテンツ、サービスを提供している。ユーザーは「いいモノ」ではなく、「楽しいコト」を求めて製品を購入し、サービスを利用する。
 今後も「ハード・ネット・ソフト」が一体となったサービス化によりイノベーションが進んでいくであろう。

Business Model Canvas

Business Model Canvas

(4)ビジネスモデル・イノベーション

 ものづくりは、既に「どう作るか」よりも「何を作るか」が問題となっている。それは、どういう価値を顧客に提供するかという問題である。そのため、製品企画やマーケティングの重要性が増している。
 さらには、製品やサービスを普及させるために、新しいビジネスモデルが考案されていく。まさに、ビジネスモデル・イノベーションの時代に突入している。

AIITデザイナーズラボ

3D-CAD、3Dプリンター(光造形機)、3Dスキャナなどを設備する本学のデザイナーズラボ
デザイナーズラボ

(5)製造業の新しい潮流 MAKERSの出現

 米国発のメイカー・ムーブメントが世界各地に広まろうとしている。クリスアンダーソンはその著書「MAKERS」の中で、誰もが製造手段を持てるようになった意義を説き、MAKERS(メイカーズ)の台頭を予見している。
 メイカーズとは、3Dプリンタやデスクトップ工作機械などの装置を駆使し、ものづくりを行う新たな製造業の担い手のことである。ものづくりの敷居が下がり、誰もが「作り手」になれる時代が来ようとしている。
 個人が欲しいものを作るという新しいタイプの起業家が出現している。