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教員連載コラム

ロボット技術を取り巻く状況

研究開発サイト: http://rsi.aiit.ac.jp/RSiRobotMap/

RSiCameraRobot : AppStore http://itunes.apple.com/jp/app/rsicamerarobot/id465884650?mt=8

不確かな未来との対話

  • 57回コラム

    「インターネットとロボット技術」

    情報アーキテクチャ専攻 教授 成田雅彦

「インターネットとロボット技術」

 現実世界とインターネットやクラウドの世界との統合が注目されている。本稿では、現在の研究活動の中で、設立メンバの一人として設立から携わり仕様の策定を行った、ロボットサービスイニシアチブ(RSi:http://robotservices.org/ )の活動について紹介する。

 ロボット分野のソフトウエアプラットフォームには、2004年ごろから日本で開始されたRTM(Robot Technology Middleware)や、次世代ロボット知能化技術開発プロジェクト、海外のOpenRoad、Ubiquitous Robotic Companion、iRobot ConnetRなどがある。多くはハードウェアとしてのロボットやロボット部品間の連携が中心である。これに対して、インターネットを活用したロボットサービスに注目し、ロボットサービスのソフトウエア基盤の整備推進を進める国内の企業団体として、同時期の2004年に設立したのがRSiである。その後、実世界とWebをつなげるWeb of Thingsや、Pachube、Cyber-Physical Systemsが注目され、最近では、アメリカのWillow Garage社による、ロボットOS(ROS)やGoogleのクラウドシステムとの連携の提唱されているが、RSiの動きはそれに先行したものである。

 ロボット技術は日本の残された数少ない競争優位がある分野の一つとされ、多くの資金が投入されているが、ハードウエアに集中している。また、各社毎にロボットの仕様が違うためにアプリケーションの開発にコストがかかり、さらにアプリケーションが蓄積される基盤が不十分という状況がつづいている。

 RSiでは、これらの問題の解決に貢献するために、相互運用性のあるロボットサービスのソフトウエア共通基盤Robot Service Network Protocol(RSNP)の仕様策定と有効性の実証、共通基盤を用いたロボットサービス、普及促進を目的としている。2011年6月現在、三菱重工業、富士通、東芝、安川電機などロボット関連企業や、日本気象協会など情報サービス提供企業、本学を含め大学、産総研などの研究機関を含め19会員である。RSiでは2004年から多くの民生ロボットで共通基盤の実証実験が行われ、RSNP 2.3仕様とJava版のRSNPライブラリが公開されている。

 RSNPは、インターネットとの整合性が高く、多様なロボットと各種のサービスに適用でき、さらに複数実装間で相互接続できるように設計されており、PUSH技術を用いて運用要員や計算機資源の限られているロボットへ情報提供や指示が迅速に行え、画像やセンサ情報の取り扱い、種々ロボットプラットフォームとの連携、ロボットサービスの自律運転、遠隔割込操作などか実現できる仕様となっている。

 一方、2010年の震災とそれに続く原子力発電所の事故において国産ロボットの投入が遅れたと批判されている。国内のロボット技術とロボット産業の発展には市場の確立が必要だが、従来、ロボット研究者に限られていたロボットのアプリケーションやサービスの開発を、より広い範囲の研究者や開発者が参入できるように、裾野を広げる努力が必要である。

 このために、2009年より加藤教授、土屋助教と協力し、ロボットサービスの集積のために研究者向けのサイトを開発と公開を行い、マイクロサービス技術を開発し、容易にRSNPを体験できるようにiPhoneアプリケーション RSiCameraRobotを開発しAppStoreで公開している。また、加藤教授のPBLで開発した大型ロボットのアプリケーションを小型ロボットで試作できるというコンセプトデモと共に、2011年11月に開催された2011国際ロボット展でRSiブースにて展示した。また、計測学会主催のRTMコンテストにPBLとして参加している(コンテストサイト: http://www.openrtm.org/openrtm/en/node/4580 )。

 インターネットとロボットサービス技術の融合は新しい分野であり、IT技術者が活躍し易く、アプリケーションの配布や利用、開発など国際的に展開できる。また、産業界との連携開発も進め易い。従って、高度専門技術者教育の視点からも好ましい方向と言える。

 今後は、RSi参加のメンバ企業や大学と協力し、より裾野を広げる活動をするなど、日本のロボット産業に貢献し、さらにソフトウエア分野へもフィードバックしていきたい。

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