革新的な教育の枠組み

PBL型教育

今回のインタビュイー 酒森潔教授 酒森潔教授1976年、熊本大学理学部卒業。78年、日本アイ・ビー・エムに入社し、システム開発・管理、製造業を中心とした顧客のシステム構築のプロジェクト・マネジャーなどを経験。2006年、産業技術大学院大学教授に就任。情報アークテクチャ専攻長も務める。写真:2012PBL発表会での酒森PBL記念撮影(酒森教授は後方左から二人目)

AIIT PBLインタビュー

  • 6回インタビュー

    大規模プロジェクトのシミュレーションと
    PMのブレンデッド・エデュケーション
    ―プロジェクト・マネジメントPBLの実際―

――大規模プロジェクトのシミュレーションはどのように進められるのでしょうか。

酒森 2011年度は、前年度のPBLで開発したパッケージを使用しました。企業のポータルサイト構築プロジェクトを想定。プロジェクトの立ち上げから終結にいたるプロセスを15段階に分け、プロジェクトの発注者、受注者、ベンダーなどの各立場を体験します。ドキュメント作成や交渉、インタビュー、上司によるレビューなどのPM活動を繰り広げます。

――盛りだくさんな内容ですね。

酒森 各段階のドキュメントやレポートにはひな型があり、穴埋め式で完成させます。プロジェクトがどう進むか、やってみなければわかりませんが、各段階のスタート時に当初設定のストーリーに戻る形で進めます。OJTよりも網羅性が高く、効率的に学べるうえに、やり直しもできます。ジャンボ機のパイロットが操縦シミュレータでトレーニングを重ねるのと似ていますね。

――前半の貴重な体験を経て、後半に新たなPBLをスタートさせます。

酒森 2011年度はPM教材をeラーニング化し、WebTVを使った集合学習も加えて、効率的なブレンデッド・エデュケーションをめざしました。実はPBLに参加する学生のひとりが福岡に転勤し、WebTVでミーティングに参加するといったことが行われていたんです。研究室にサーバを設置し、各学生が遠隔地からアクセスして課題をこなしていく環境も整えています。こうした実体験を生かして、教材を製作したわけです。

――成果は、次期PBLで生かされそうですね。
プロジェクトの進行には、学生のチームワークも重要では?

酒森 企業では上下関係の指示・命令系統でプロジェクトが動いていきますが、PBLでは参加する学生がみな対等の立場です。時間がタイトな中でプロジェクトを完遂するには、活発なコミュニケーションが大切ですし、遅れがちな作業のサポートも必要になります。そうしたなかで、PMに不可欠のコンピテンシーを修得していくわけです。同じ体験を共有した学生たちは、貴重な仲間となっていきます。前年の成果を引き継いでいくことで、修了期を超えたネットワークも築かれています。

――今後のPBLはどのように進めたいとお考えですか。

酒森 シミュレーションの充実に加えて、実際のプロジェクトをテーマにできればと思います。学生が独自のテーマでPMに取り組み、そのメンターとなるような形ですね。プロジェクト・マネジャーの実務により近い体験が得られるからです。

――PBLのあり方自体も、進化していくのですね。