革新的な教育の枠組み

PBL型教育

今回のインタビュイー 酒森潔教授 酒森潔教授1976年、熊本大学理学部卒業。78年、日本アイ・ビー・エムに入社し、システム開発・管理、製造業を中心とした顧客のシステム構築のプロジェクト・マネジャーなどを経験。2006年、産業技術大学院大学教授に就任。情報アークテクチャ専攻長も務める。

AIIT PBLインタビュー

  • 5回インタビュー

    キャリアアップに向けた注目のスキル
    ―プロジェクト・マネジメントを学ぶー

――プロジェクト・マネジメント(PM)が最近、より注目を集めるようになってきました。

酒森 ある雑誌に掲載されていた「上司が部下に取らせたい資格」のランキングで、トップに挙がっていたのはPMでした。従来、この分野の学問的な体系が構築されていたわけではありませんが、PMBOKを昇格要件に採用する企業も登場し、修得の意欲を持つ人が増えています。

――そうしたニーズに、AIITはどのように応えているのでしょうか。

酒森 PMBOKやIPAのカリキュラムに準拠し、社会人が実務で使えるPMの共通技術修得をめざします。1年次の一般科目ではPM入門とリアルタイムシミュレータによる演習を体験します。企業でPMの実務に携わっている非常勤教員を招くなど実践的な内容で、すべてのITアーキテクトに必要なプロジェクト・マネジメント力を修得する狙いです。2年次の専門科目では、PMBOKをいかに実務に使うか、私の経験を交えながら講義を行い、PM知識体系を網羅します。いくつかのPMツールを深く掘り下げた演習も行い、大規模プロジェクトを運営するプロジェクト・マネジメント力を修得します。

――PBLでPMを専攻するのは、どのような学生ですか。

酒森 企業でPMをめざす人や、すでにPMの実務についている人ですが、どちらかというとマネジメント業務についている人が多いようです。学部卒業直後の学生もいますが、やはり社会人が多いですね。年齢はもちろんのこと、仕事の内容や実務経験、レベルもさまざまで、学ぶ目的も異なります。ダイバーシティの見本のような環境です。多様な考え方の学生が共に学ぶ環境は、実務上のプロジェクトに似ていますね。

――テーマはどのように設定するのですか。

酒森 前半は教員が提供する大規模なプロジェクト・シミュレーションを実施します。100人月規模に相当するプロジェクトについて、設定されたストーリーに沿って課題を解決していくものです。後半は、前半の結果を生かし、チームでテーマを決めて実施します。これまでは、IT以外の業界のプロジェクト・マネジャーへのインタビューからノウハウを整理したり、PMコンピテンシー開発体系の研究、PM模擬プロジェクト教材の作成などを行ってきました。これらの成果が、次年度のPBLにつながっていくことが多いですね。

――次回はPBLの実際についてお伺いします。

プロジェクトマネジメントのコンピテンシー